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GeForce RTX 50シリーズのハイエンドGPU「GeForce RTX 5080 Founders Edition」は,新世代に相応しい性能を見せられるのか
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印刷2025/01/29 23:00

レビュー

新世代のハイエンドGPUに相応しい性能を見せられるのか

NVIDIA GeForce RTX 5080 Founders Edition

Text by 宮崎真一

 NVIDIAの新世代GPU「GeForce RTX 50」シリーズの第2弾となる,「GeForce RTX 5080」(以下,RTX 5080)のレビューが解禁となった。第1弾となったウルトラハイエンドGPU「GeForce RTX 5090」(以下,RTX 5090)は,新世代のGeForceとして十分に高い性能を備えていたが,その下位となるRTX 5080は,どうなのだろうか。
 NVIDIA純正グラフィックスカード「GeForce RTX 5090 Founders Edition」(以下,RTX 5080 FE)を用いて,その実力を確かめてみたい。

GeForce RTX 5080 Founders Edition
メーカー:NVIDIA
価格:999ドル(約15万5000円前後,税別,国内発売予定なし,2025年1月29日現在)
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GB203の規模はGB202の半分程度


 まずは,RTX 5080のスペックについて確認しておこう。
 RTX 5080は,RTX 5090と同じ「Blackwell」アーキテクチャにもとづくGPUだが,GPUコアには,RTX 5090の「GB202」(開発コードネーム,以下同)とは異なる「GB203」を採用している。

 GB203は,TSMCの4nm 4Nプロセスで製造されたGPUで,378mm2のダイサイズに,約456億個のトランジスタを搭載する。Ada Lovelace(以下,Ada)世代の「GeForce RTX 4080 SUPER」(以下,RTX 4080 SUPER)の「AD103」は,約378.6mm2のダイサイズに約459億個のトランジスタを搭載していた。つまりGB203は,ダイサイズはほとんど変わらず,トランジスタ数は若干減っているわけだ。
 ちなみに,RTX 5090のGB202と比べた場合,GB203はダイサイズ,トランジスタ数ともに50%ほどの規模である。

 Blackwellアーキテクチャでは,シェーダプロセッサである「CUDA Core」を128基と,L1キャッシュメモリやテクスチャユニット,そしてレイトレーシングにおける光線の生成と衝突判定を行う「RT Core」を1基,さらにAI処理向けアクセラレータ「Tensor Core」を4基まとめて「Streaming Multiprocessor」(以下,SM)を構成している。この点は,Ada世代と変わらない。そのSMが12基集まることで,GPUクラスタ「Graphics Processor Cluster」(以下,GPC)を構成する点も同じだ。
 GB203は,GPCを7基有している。それゆえCUDA Coreの総数は,128×12×7=10752基だ。これは,RTX 5090の49%ほどの規模しかないが,RTX 4080 SUPERよりも5%増えている。

NVIDIAコントロールパネルで,RTX 5080 FEにおけるシステム情報を確認したところ
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 また,レイトレーシングエンジンのRT Coreは,第4世代に進化。RT Coreの総数はSM数と同じなので,RTX 5080では84基となるが,こちらもRTX 5090比では半分,RTX 4080 SUPER比では若干の増加している。
 ただし,RTX 5080におけるRT Coreの公称スループットは,171 RT TFLOPSとなり,RTX 4080 SUPERの121 RT TFLOPSから41%ほど増加しているため,世代の進化による性能向上も大きいのだろう。

 AI処理を担うTensor Coreも第5世代に進化した。Tensor Coreの総数は,SM数の4倍なので,RTX 5080では336基となる。RTX 5090比では49%程度で,RTX 4080 SUPERの320基と,あまり変わらない。
 ただ,RTX 5080では,Tensor Coreの公称スループットが1801 AI TOPSとなっており,RTX 4080 SUPERの836 AI TOPSと比べて2倍以上も向上している。世代の革新が表れている形だ。また,RTX 5080もRTX 5090と同じく,AIベースの超解像技術の最新版「DLSS 4」をサポートしている点もトピックのひとつに挙げられよう。

GPU-Z(Version 2.61.0)でRTX 5080 FEのスペックを確認したところ
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 RTX 5080の動作クロックは,ベースクロックが2300MHzでブーストクロックが2617MHzと,それぞれ2010MHz,2407MHzのRTX 5090よりも,かなり引き上げられている。回路規模が小さいので,高クロック動作しやすいのだろう。後述するテスト環境において,負荷をかけた状態のコアクロックを「GPU-Z」で追ってみたところ,2820MHzまで上昇しているのを確認した。同様のテストにおいて,RTX 5090は2910MHzまで伸びていたので,若干低めだ。

 RTX 5080は,グラフィックスメモリとして容量16GBのGDDR7を組み合わせており,メモリインタフェースは256bitである。512bitだったRTX 5090と比べれば半分しかないが,RTX 4080 SUPERと同じだ。
 ただし,RTX 5080のメモリクロックは30GHz相当で,RTX 5090の28GHz相当よりも高いので,RTX 5080のメモリバス帯域幅は960GB/sとなる。RTX 5090のメモリバス帯域幅の1792GB/sと比べて,メモリインタフェースは半分でも帯域幅では54%を維持しているわけだ。なお,RTX 4080 SUPER(736GB/s)比では30%ほど向上しており,RTX 4090の1008GB/sに迫っている点は見どころと言えよう。
 なお,RTX 5080のL2キャッシュ容量は64MBで,RTX 4080 SUPERと同じだ。

CPU-Z(Version 2.13.0)でRTX 5080 FEのスペックを確認したところ(左)。グラフィックスメモリチップはSamsung製のようだ。右はCUDAの開発キットに付属している「devicequerydrv.exe」の実行結果。L2キャッシュの容量(赤枠内)は,「67108864 bytes」=64MBである
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 RTX 5080の「Total Graphics Power」(TGP)は360Wで,575WだったRTX 5090よりも大幅に少ない。とはいえ,RTX 4080 SUPERよりは,40Wほど増加してしまっている。
 そんなRTX 5080の主なスペックを,RTX 5090とRTX 4090,それにRTX 4080 SUPERと合わせてまとめたものが,表1となる。

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RTX 5090と外観はほぼ同じ。基板をカード中央に配置する設計は健在


 それでは,RTX 5080 FEのカードそのものについて見ていこう。

RTX 5080 FEの製品ボックス内箱(左)。これもRTX 5090 FEと同じだ。カード本体と,三叉タイプのPCIe補助電源ケーブル(右)が含まれている
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 カードの外観はRTX 5090 Founders Edition(以下,RTX 5090 FE)と瓜二つ。

RTX 5080 FEの表面。GPUクーラーは2スロット占有タイプで,120mm径相当のファンを2基搭載しており,RTX 5090 FEと同じものではないかと思われる
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裏面は,ファンが位置する部分の裏側が,わずかに凹んだ形状をしているのも,RTX 5090 FEを踏襲している
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 GPUクーラーが2スロット占有タイプである点や,GPUクーラーの前面に120mm径相当のファンを2基搭載している点,それにメイン基板がブラケット側ではなくカードの中央付近に配置されている点,ファンの部分が,どちらも表から裏へとエアーが抜ける構造になっている点などは,RTX 5090 FEとまったく同じだ。

RTX 5080 FEでも,中央の基板を挟む形で,2基のファン部分で表から裏へとエアーが抜ける構造を採用している
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GPUクーラーの上側面(左)や下側面(右)に,空気が流れる2本のスリットが用意されている点もRTX 5090 FEと同じだ
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 RTX 5080 FEのサイズも,実測で約304mm(※突起部除く)とRTX 5090 FEと同じである。マザーボードに装着すると,ブラケットから垂直方向に約30mmはみ出る背の高さも同じだ。

カードサイズは実測で約304mm
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 ちなみに,RTX 5080 FEの重量は実測約1653gで,GPUクーラーのサイズや見た目が変わらないわりに,RTX 5090 FEと比べて約165gも軽くなっていた。

実測重量は約1653g
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補助電源コネクタは,12HPWRに対応した16ピンが斜め向きに実装されている
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 補助電源コネクタは,12VHPWRに対応した16ピンタイプを1基備えている。製品ボックスには,3系統の8ピンを1本の16ピンに束ねるお馴染みの変換ケーブルが付属していた。
 RTX 5080 FEとRTX 5090 FEが見た目で異なる点は,電源変換ケーブルを除けば,裏面にRTX 5080の刻印がある点だけだ。そのため,ぱっと見で両者を区別するのはなかなか難しい。

 ブラケットには,映像出力インタフェースとして,DisplayPortが3系統,HDMIが1系統並んでいる。ブラケットにまったく開口部が用意されていない点も,RTX 5090と同じだ。

映像出力インタフェースはDisplayPort×3,HDMI×1というありふれた構成だ
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ハイエンドGPUでの位置付けを確認。DLSS 4の性能差もチェック


 それではテスト環境を説明していこう。今回,比較対象には,RTX 5090とRTX 4090,それにRTX 4080 SUPERを用意した。RTX 5090との差を確認しつつ,前世代のRTX 4090とRTX 4080 SUPERに対して,どのような位置付けになるのかを確認しようという意図である。

 使用したグラフィックスドライバは,「GeForce 572.02 Driver」で,これはNVIDIAがRTX 5080のレビュワー向けに配布したものだ。RTX 5090のレビューに用いたドライバが517.86だったので,これはそのRTX 5080対応版と捉えるのが妥当だろう。それ以外のテスト環境は表2のとおり。

表2 テスト環境
CPU Core i9-14900K(P-core 定格クロック3.2GHz,P-core 最大クロック5.6GHz,24C32T,Intel Smart Cache容量36MB)
マザーボード ASRock Z790 Steel Legend Wi-Fi(Intel Z790,BIOS 19.02)
メインメモリ Corsair VENGEANCE RGB DDR5 PC5-48000 DDR5 SDRAM 16GB×2(DDR5-5600の40-40-40-76設定で利用)
グラフィックスカード GeForce RTX 5080 Founders Edition(グラフィックスメモリ容量16GB)
GeForce RTX 5090 Founders Edition(グラフィックスメモリ容量32GB)
GeForce RTX 4090 Founders Edition(グラフィックスメモリ容量24GB)
GeForce RTX 4080 SUPER Founders Edition(グラフィックスメモリ容量16GB)
ストレージ CFD CDDS-M2M1TEG1VNE(NVMe,1TB)
電源ユニット CoolerMaster V1200 Platinum(定格1200W)
OS Windows 11 Pro 24H2(Build 26100.2894)
チップセットドライバ Intel チップセットINFユーティリティ 10.1.20020.8623
グラフィックスドライバ GeForce:GeForce 572.02 Driver

 テスト内容は,4Gamerのベンチマークレギュレーション30に準拠。ただし,「Fortnite」は,RTX 5090のテストでグラフィックスAPIにDirectX 11を使用するとゲームが強制終了したため,今回はDirectX 12で統一している。

 また,RTX 5080においてもDLSS 4の性能を検証するため,「NVIDIA DLSS feature test」と,「Cyberpunk 2077」のテストを追加した。どちらもRTX 5090のテストで用いたものと同じだ。
 DLSS 4のテストで使用する「3DMark」は,NVIDIAが用意した特別版(Version 2.32.8360)である。「DLSSバージョン」の項目で「DLSS 4」を,「Frame generation」の項目では「2x/3x/4x」から選べるというものだ。なお,今回のテストでは,「Super Resolution」では「Quality」を選択している。また,NVIDIA DLSS feature test以外のテストについては,テスト時の3DMark最新版(Version 2.30.8348)を使用した。

 一方のCyberpunk 2077も,NVIDIAが用意したプレス向けβ版を使用している。このβ版は,DLSS 4に対応しており,「Frame Generation」の項目に「DLSS Multi Frame Generation」の設定があり,「2X」「3X」「4X」を指定できる。今回のテストでは描画負荷が最も大きい「Ray Tracing: Overdrive」プリセットを選択したうえで,「DLSS Super Resolution」を「Quality」に指定。DLSS Multi Frame Generationの設定を適宜変更しながら,ゲームに用意されたベンチマークモードを実行している。
 なお,テスト解像度は,いつもどおり3840×2160ドット,2560×1440ドット,1920×1080ドットの3つを選択している。


RTX 5090との格差はかなり大きい。RTX 4080 SUPERとの差は10%強


 それでは,3DMarkの結果から順に見ていこう。グラフ1は,DirectX 11テストである「Fire Strike」の総合スコアをまとめたものだ。

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 RTX 5080のスコアは,RTX 5090の70〜93%程度といったところ。テスト解像度が低いFire Strike“無印”は,CPU性能の影響が大きいため差が縮まるが,高解像度のFire Strike Ultraでは,メモリバス帯域幅で勝るRTX 5090がRTX 5080を大きく離している。
 RTX 4080 SUPER比では,RTX 5080は4〜20%程度上回るものの,それでもRTX 4090には2〜15%程度の差を付けられた。

 次に,DirectX 12のテストとなる「Time Spy」の結果を見てみよう(グラフ2)。

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 RTX 5080のスコアは,RTX 5090の70〜83%程度といったところ。RTX 4080 SUPERには11〜13%程度の差を付けるものの,やはりRTX 4090には10〜13%程度届かない。RTX 5080のスコアは,RTX 4090とRTX 4080 SUPERのほぼ中間に位置しているとも言える。

 新世代のDirectX 12テストである「Steel Nomad」の結果が,グラフ3だ。

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 ここではRTX 5080とRTX 5090の差がさらに広がり,RTX 5080のスコアは,RTX 5090の約57%しかない。RTX 4080 SUPERよりは約22%高く,RTX 4090には約13%離されている点は,これまでのテストと同様なのだが,最上位モデルとのギャップは,かなり大きく見える。

 グラフ4は,DirectX 12 Ultimateに対応したテストである「Speed Way」の結果となるが,ここでもRTX 5080とRTX 5090では,かなりの差が開いている。

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 RTX 5080のスコアは,RTX 4080 SUPERより約21%高いものの,やはりRTX 5090比では約62%しかなく,RTX 4090にも約13%の差を付けられた。全体の傾向は,Steel Nomadによく似た結果となっている。

 リアルタイムレイトレーシングの性能を計る「Port Royal」の結果が,グラフ5だ。

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 ここでもRTX 5080のスコアは,RTX 5090の約62%だが,RT Core数の差を踏まえると,妥当な結果と言えそうだ。なお,RTX 4080 SUPERには約17%の差を付けるが,RTX 4090との差は約21%もあり,新世代のRT Coreを持ってしても,差を縮めるには至っていない。

 グラフ6,7はNVIDIA DLSS feature testの結果だが,RTX 5090がそうであったように,RTX 5080もMulti Frame Generationの効果がハッキリと表れている。なお,RTX 4090とRTX 4080 SUPERはDLSS 4に対応しないので,DLSS 4のスコアはない。

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 Multi Frame Generationで,どれだけフレームレートが伸びるかを計算してみると,RTX 5080は2xで2.5〜3.1倍程度,3xで3.5〜4.4倍程度,4xで4.4〜5.7倍程度となった。RTX 5090は,順に2.2〜2.8倍程度,3.2〜4.1倍程度,4.0〜5.3倍程度だったので,比較すると若干伸びが大きくなっている。地力が違うため,フレームレート自体はRTX 5090にまったく太刀打ちできていないものの,DLSS 4の伸びは,RTX 5080のほうが上回っている点はなかなか興味深い。

 では,実際のゲームではどうなのだろうか。グラフ8〜10は,「Call of Duty: Modern Warfare III」(以下,CoD:MW3)の結果となる。

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 RTX 5080の平均フレームレートは,RTX 5090の63〜74%程度だ。RTX 4080 SUPERからは4〜8%程度伸びているものの,RTX 4090には16〜23%程度も離されている。やはり上位モデルとのギャップは,かなり広めだ。1パーセンタイルフレームレートを見ても,RTX 5080はRTX 5090の62〜78%程度で,RTX 4080 SUPER比では4〜12%程度の向上に留まっている。

 次に,「バイオハザード RE:4」の結果がグラフ11〜13だ。

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 RTX 5080の平均フレームレートは,RTX 5090に48〜81%程度もの差を付けられており,上位モデルとの格差は印象的だ。RTX 4080 SUPERからは8〜15%程度伸びているものの,RTX 4090との差は31〜41%程度もあり,まったく太刀打ちできていない。

 グラフィックスAPIにDirectX 12を用いたFortniteの結果を,グラフ14〜16に示す。

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 RTX 5080の平均フレームレートは,RTX 4090に8〜15%程度まで差を詰めて,意地を見せている。ただ,RTX 4080 SUPERからの伸びは10〜14%程度である点や,RTX 5090の65〜77%しかない点は,CoD:MW3のテストと似た傾向だ。
 1パーセンタイルフレームレートに目を移すと,RTX 5080は,RTX 5090の67〜75%程度で,傾向は平均フレームレートと同じだ。RTX 4080 SUPERには11〜14%程度の差を付け,RTX 4090との差を6〜17%程度まで縮めているあたりも,平均フレームレートの傾向を踏襲している。

 グラフ17〜19は,「Starfield」の結果だ。

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 ここではCPUがボトルネックになるためか,2560×1440ドット以下の解像度は,平均フレームレートは120fps付近で頭打ちとなる。そこで,3840×2160ドットを見ていくと,RTX 5080の平均フレームレートは,RTX 5090の約70%だった。RTX 4080 SUPERとの差は,約8%しかなく,RTX 4090との差は,約20%もある。
 1パーセンタイルフレームレートだが,こちらも3840×2160ドットの結果を見ると,RTX 5080はRTX 5090の約73%,RTX 4090の約88%に留まっている。しかし,RTX 4080 SUPERとは約11%の差を付けて,60fpsを超えてみせた点は評価できよう。

 グラフ20は「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下,FFXIV黄金のレガシー ベンチ)の総合スコアをまとめたものだ。

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 ここでも3万2000程度で,CPUのボトルネックによる頭打ちが起きているが,RTX 5080は2560×1440ドット以上の解像度で,RTX 5090の70〜86%程度といったところ。RTX 4080 SUPERからの伸びは,最大で約14%程度だが,RTX 4090には11〜17%程度離されたままだ。
 強いて見どころを挙げるとすれば,RTX 4080 SUPERは3840×2160ドットで,スクウェア・エニックスが指標で最高評価とする1万5000を上回れていないが,RTX 5080はしっかりと上回っている点だろうか。

 そんなFFXIV黄金のレガシー ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものが,グラフ21〜23だ。

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 平均フレームレートは,総合スコアを踏襲したものとなっているが,最小フレームレートは,CPU性能の影響が色濃く表れるため,あまり差が付いていない。それでもRTX 5080は,RTX 4080 SUPERに10fps近くの差を付けている点は評価できよう。

 グラフ24〜26には,「F1 24」の結果をまとめた。

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 RTX 5080の平均フレームレートは,RTX 5090の59〜91%程度で,解像度が高くなるにつれて,RTX 5090が優位性を発揮している形だ。RTX 4080 SUPERからの伸びは4〜17%程度で,メモリバス帯域幅で勝るRTX 5080が,高解像度でRTX 4080 SUPERを引き離している。しかし,それでもRTX 4090には及ばず,最大で約22%の差を埋め切れていない。
 RTX 5080の1パーセンタイルフレームレートは,RTX 5090の58〜89%程度と,とくに3840×2160ドットでは大差が付いてしまっている。しかしRTX 5080は,3840×2160ドットでも70fps以上の結果を残しているので,ここはRTX 5090の性能を褒めるべきだろう。なお,1パーセンタイルフレームレートでは,RTX 4080 SUPERに3840×2160ドットで10fps以上の差を付けており,ゲームの快適さは確実に向上していると言っていい。

 「Cities: Skylines II」の結果が,グラフ27〜29となる。

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 RTX 5080の平均フレームレートは,RTX 5090の78〜85%程度で,RTX 4080 SUPERから6〜9%程度の伸びている。ただ,それでもRTX 4090には届いておらず,上位モデルとの格差は明白だ。
 1パーセンタイルフレームレートを見ると,RTX 5080はRTX 5090から離されて,66〜85%程度に留まっている。RTX 4080 SUPERとの差は,7〜11%程度に広げているものの,やはりRTX 4090には届かない。

 さて,今回のゲームで唯一,DLSS 4に対応するCyberpunk 2077で,マルチフレーム生成の効果をRTX 5080でも確かめてみよう。グラフ30〜32が,その結果だが,文中とグラフ中ともに,DLSS Multi Frame Generationのフレーム生成倍率を,「RTX 5090 FG 4x」といった具合に,FGの後ろに数字で示している。

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 RTX 5080の平均フレームレートは,DLSSオフ状態と比べてRTX 5080 FG 2xで約1.8倍,RTX 5080 FG 3xで2.6〜2.7倍程度,RTX 5080 FG 4xで3.3〜3.4倍程度と,それぞれしっかりと伸びている。RTX 5090の場合は,RTX 5090 FG 2xで1.8〜2.0倍程度,RTX 5090 FG 3xで2.6〜2.9倍程度,RTX 5090 FG 4xでは3.3〜3.7倍程度なので,伸び率はRTX 5080とRTX 5090で大差がないようだ。
 なお,RTX 5080の最小フレームレートは,RTX 5080 FG 2xで1.8〜1.9倍程度,RTX 5080 FG 3xで2.6〜2.7倍程度,RTX 5080 FG 4xで3.3〜3.4倍程度と,着実に向上している。


消費電力は330W強。RTX 4080 SUPERから30W増加


 さて,RTX 5080のTGPが360Wであることは先述したとおりだが,はたして実際の消費電力は,どの程度なのだろうか。RTX 5090が電力喰いだっただけに,RTX 5080がそこからどの程度減っているかは気になるところだ。

 いつものように,NVIDIAが開発した消費電力計測ツール「PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を用いて,グラフィックスカード自体の消費電力を計測してみたい。なお,テストは,RTX 5090のレビューと同様に,3DMarkのTime Spy Extremeにおいて,消費電力が高くなる傾向がでたGraphics test 2実行中に行っている。その結果をグラフ33に示そう。

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 この結果を見ると,RTX 5080はRTX 5090から大幅に消費電力が低く,RTX 4090も下回っていることが分かる。RTX 4080 SUPERとはいい勝負を演じているが,若干RTX 5080のほうが高めといったところだろうか。

 そこで,グラフ32の測定結果から,分かりやすくなるように中央値を求め,最大値と合わせてまとめたものがグラフ34となる。

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 RTX 5080の中央値は334Wで,RTX 5090から200W以上も低い。RTX 4090よりも80W低く,RTX 4080 SUPERからは30W高い値だ。ただ,RTX 5080の最大値は400W弱と,RTX 4080 SUPERよりも相応に高い。電源ユニットに対する要求は,RTX 5090やRTX 4090ではないにしても,RTX 4080 SUPERよりは厳しいと言っていいだろう。

 続いて,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の最大消費電力を計測した結果も見てみよう。
 テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。その結果がグラフ35だ。

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 ここではピーク値を結果として採用するため,どうしても差が大きい傾向が出てしまう。それ踏まえて見ていくと,各ゲーム実行時においてRTX 5080は,700W前後の消費電力となった。これはRTX 5090よりも186〜345W程度低いが,RTX 4080 SUPERよりは5〜70W程度高くなっている。RTX 5080の消費電力は,TGPどおりRTX 4080 SUPERから40Wほど増えた,という理解で問題なさそうだ。

 GPU-Zを用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。温度約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。
 GPUによって,温度センサーの位置や取得方法が異なっており,ファンの制御方法も違うため,同列に並べての評価にあまり意味はないことはお断りしておく。それを踏まえた結果は,グラフ36のとおり。

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 RTX 5080は,高負荷時でも70℃台前半に収まっており,GPUクーラーは,しかりと冷却できている。アイドル時にRTX 4090やRTX 4080 SUPERより高めになるのは,GPUクーラーが2スロット厚となり,アイドル時はファンの回転が止まるので,放熱フィンの面積が減ってしまったことが影響したのだろう。

 最後に騒音計を使って,それぞれの動作音を比較してみたい。今回は,室内の音が41.2dBAの環境で,グラフィックスカードに正対する形で50cm離したところに騒音計を置いて,動作音を計測した。なお,ここでもバラック状態でテストを行っているので,実際にケースに組み込んだ状態よりも動作音は大きくなる。アイドル時と高負荷時は,GPU温度を測定した条件と同じだ。結果はグラフ37となる。

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 RTX 5080は,高負荷時でも50dBAを切っており,RTX 5090より動作音は低く抑えられている。ただ,RTX 4080 SUPERよりは若干動作音が大きくなっており,このあたりはGPUクーラーを2スロット厚にした弊害と言えそうだ。


RTX 4080 SUPERより高性能だが,新世代らしさはあまり感じない


 以上のようにRTX 5080は,RTX 5090と比較して70%程度の性能を示す場面が多く,最上位モデルとのギャップは,かなり大きい印象だ。とくにRTX 5080は,グラフィックスメモリ容量が16GBしかない点が,高解像度時におけるウィークポイントと言わざるをえない。また,RTX 4080 SUPERからの伸びも10%強にとどまる場面が多く,前世代の最上位であるRTX 4090に,まったく太刀打ちできてないあたりはインパクトに欠ける。
 もちろん,DLSS 4でRTX 5080のフレームレートが飛躍的に伸びるのはテスト結果から明らかだが,マルチフレーム生成がどんなゲームでも効果的とは言えないことを考えると,RTX 5080の実力は物足りなく思える。40W前後とはいえ,消費電力がRTX 4080 SUPERより高い点も残念だ。

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 NVIDIAによると,RTX 5080搭載カードの想定売価は19万8800円からだそうだが,本稿執筆時点で明らかになっている製品価格は,安い物でも25万円弱である。RTX 4080 SUPER搭載モデルが19万円を切る価格で流通していることも考えると,割高に感じてしまう。RTX 4080 SUPER搭載モデルが,やがて市場から姿を消すことを考えると,ハイエンド市場向けGPUの選択肢はRTX 5080しかなくなるわけで,世代の進化をより明確に感じられる性能向上が求められたのではないだろうか。

NVIDIAのGeForce RTX 5080製品情報ページ

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