2018年4月14日,東京・コトブキヤ秋葉原館の5Fイベントスペースで,模型展示会
「16bitModels」の第3回が開催された。その展示作品を紹介する。
「16bitModels」は,ゲームを題材にした入場無料のファンイベントだ。今回は,同じく秋葉原で開催された
セガフェス(
関連記事)の会期に重なることもあってか,
“セガ”をテーマとした作品が集められた。なお,
第1回と
第2回はあくまでインディーズのイベントとして行われていたが,今回はセガゲームスの承認を得たイベントとなっている。
来年の第4回開催も決まっており,そちらのテーマは
“アーケード”になるという。
柳生圭太氏「断章〜第7小隊の特別休暇〜」
柳生氏は,周囲がレトロゲーム系をモチーフに選ぶと考え,逆に近年のセガを代表するタイトルのひとつ
「戦場のヴァルキュリア」(
PS4/
PS3/
Nintendo Switch)をチョイス。ボークスの「1/35 エーデルワイス号」をベースとして,デジタル造形による水着のアリシアとパラソルを添えている。見事な装甲面の塗装表現にも注目してほしい。
yodachin氏「夢・創造・サンソフト」
yodachinことFREEingの依田智雄氏は,サンソフトが開発を担当したファミリーコンピュータ版
「ファンタジーゾーン」のプレイ環境という,かなりの変化球的なヴィネットをスクラッチ。そのプレイ環境も,シャープ製のファミリーコンピュータ内臓TVである
「マイコンピュータテレビC1」となっている。TV画面には小型の液晶ディスプレイ,台座にはモノラルスピーカーが内臓されており,実際に「ファンタジーゾーン」をプレイできる。なお,ソフトが挿さっているハードは「RETRO FC SINGLE」という製品だ。
金子二等兵氏「変身!」
金子氏の作品は,一見するとアーケード版
「獣王記」のインストカードが貼られた謎の箱。その中を前方の窓から覗き込むと,主人公の顔が見える。そして本体から出ているボタンを押すと,内部のLEDが明滅してから点灯。ゲーム中の変身シーンを再現して,見える顔がステージ3のウェアベアに変わるという,マジックミラーを用いたギミックが内蔵されている。変身する獣人がウェアベアなのは,
「獣王記の熊がすごくかわいいので」とのことだ。
竹下やすひろ氏「バーチャファイターインパクト」
竹下氏は「figma バーチャファイター 結城晶」および「figma バーチャファイター サラ・ブライアント」とWAVEの「1/12 メモリアルゲームコレクションシリーズ アストロシティ筐体」を用いて,アーケード版
「バーチャファイター」で対戦の勝敗が決まった瞬間のイメージや,アスペクト刊「バーチャファイターマニアックス」表紙ビジュアルの立体版などを表現。筐体のディスプレイでは内部のLEDがオレンジ/ピンクに明滅しており,衝撃の激しさが演出されている。
清水 圭氏「のら犬」
マックスファクトリーの清水氏は“16bit的にはストライクな1988年”が舞台の
「龍が如く0 誓いの場所」(
PS4/
PS3)をモチーフとして,神室町の一角を立体化。なお「誓いの場所」における桐生一馬の髪型は,初代
「龍が如く」以降の時系列にある作品とは異なっているのだが,キャラクター的な記号として,あえて「龍が如く」以降と同じ髪型にしているという。雨粒が波紋を描く濡れたアスファルトなど,細かいところにも注目してほしい。
内藤あんも氏「Back alley」
内藤氏は,
「ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド」をモチーフに,“巨大なドリキャスを背負ってキーボードを持った主人公と,五体を破壊されて息絶えたゾンビ”という,苛烈さとシュールさが同居するビジュアルをフルスクラッチ。シンプルながら静かな迫力がある構図となっている。
紅緒氏「ベレイ」
紅緒氏は,
「ファンタシースターオンライン2 エピソード2 デラックスパッケージ」の特典で生み出せる,永野 護氏デザインのマグ「ベレイ」を再現。サイズは概算ながら1/1スケールとなっており,結構なボリュームがある。
浅井真紀氏「ランドストーカー 〜皇帝の財宝〜」
浅井氏は自身がメガドライブでもっともやり込んだという
「ランドストーカー」を立体化。足場を飛び渡る主人公・ライルが,高い台座の上に飾られている。もとはクォータービューのゲームなので,下から見上げてみると不思議な感覚を味わえる。
みっくす氏「ギャラクシーフォース筐体」
みっくす氏はゲームそのものよりも,筐体にフォーカスした作品を造形した。
「ギャラクシーフォース」の回転筐体が,安全確保のために置かれた侵入防止柵まで含めてミニチュアで再現されている。
あさみほとりさん「Rub it!」
模型作りを趣味とする声優のあさみほとりさんは,
「きみのためなら死ねる」から,ラストバトルで主人公が搭乗する巨大ロボットを立体化。足元のラブラビッツも,その小ささにも関わらずバランス良く造形されている。
マスクド13氏「Get Ready!」
マスクド13氏はハセガワの
「電脳戦機バーチャロン」キットを元にした作品群を出展。細部まで再現された,バーチャロイドの複雑なカラーパターンに注目だ。
コトブキヤ 野内氏「ソニック・ザ・dots」
コトブキヤのプラモデル総合Twitterなどで知られる野内氏の作品,着色キューブによる
ソニック・ザ・ヘッジホッグのドット絵アート。ドット絵は,マスターシステム版「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」以上にピクセル数や色数が抑えられた野内氏のオリジナルとなっている。
イフェメリス氏「南極奇譚」
イフェメリス氏の作品は
「ペンゴ」をモチーフとしているものの,ペンゴはコトブキヤの「フレームアームズ・ガール マテリア」を元にした美少女ロボット,スノービーはH・P・ラヴクラフトの小説「狂気の山脈にて」やジョン・カーペンター監督の映画「遊星からの物体X」をイメージしたクリーチャーと,大胆なアレンジがほどこされている。スノービーはアイスブロックで潰される直前となっているが,この後の光景は凄惨なことだろう。
こっしー氏「1/35 203号室」
こっしー氏は
「ルーマニア#203」から,主人公であるネジタイヘイの部屋を1/35スケールで再現。ブラウン管のテレビにCRTディスプレイ一体型のPC,直方体のミニコンポなど,当時の空気まで感じられるジオラマだ。
佐藤哲夫氏「アフターバーナークライマックス」
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属で,お笑いコンビ・パンクブーブーのボケ担当にして吉本プラモデル部の部長である佐藤氏は,
「アフターバーナークライマックス」の箱組ヴィネットを制作した。青空と海面のボードを組み合わせた背景,スケールの異なるモデルによる奥行きの演出など,センスが光る作品だ。
フクイマサヒロ氏「Do Virtuaroids Dream of Electric Devil?」
フクイ氏は,ペナルティステージでヤガランデと対峙するテムジンを再現した,
「電脳戦機バーチャロン」のジオラマを出展。スケール感を強調するため,ヤガランデは1/100,テムジンは1/165となっている。ベースやヤガランデのセンサーには,明滅するLEDが仕込まれている。
射尾卓弥氏「The Guardian」
射尾氏は,“現在はセガが権利を有している”ということで
「サンダーフォースV」から,ラスボスのガーディアンを立体化。制作はポリゴンモデルの3Dプリンタ出力からとのこと。背景のディスプレイには,ゲームを再現したアニメーションが映し出されている。
東海村原八氏「ドリームキャス子ちゃん」
東海村氏が制作したのは,かつてソフトバンク刊行のセガ系ゲーム情報誌に連載されていた
「セガのゲームは世界いちぃぃぃ!」で主人公を務める
キャス子。同氏は今後,可能ならば
メガドラ兄さんなどのセガファミリーも作って並べたいとのことだ。
フジロイ氏「セガサターン、シロ!!」
フジロイ氏は,藤岡弘、氏が演じたセガサターンのCMキャラクター・
せがた三四郎を1/12スケールで制作。背景のミサイルにも小さなせがた三四郎がしがみついており,こちらはCM最終作におけるシーンを再現したものとなっている。
鳥山とりを氏「ハリアーさんとオパオパさん」
ランペイジの鳥山氏は
「スペースハリアー」の自機・ハリアーと,
「ファンタジーゾーン」の自機・オパオパを美少女化。大胆なアレンジながら,オリジナルのイメージを感じられるデザインが秀逸だ。オパオパさんにはハセガワ「フェイ・イェン」キットのパーツが用いられており,“セガ感”を醸し出している。
また鳥山氏は,第1回に出展の
「アウトラン」をモチーフにした「LAST WAVE」も再出展していた。
Rocket氏「Ferris wheel」
Rocket氏の作品は,
「ファンタジーゾーン」の2面ボス・ボランダを観覧車風にアレンジしたもの。モーターが仕込まれており,紫のゴンドラ部が回転する。ちなみに観覧車風となったのは,製作中にプレイした
「コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア」PC/
PS4/
PS3/
Xbox 360)の影響らしい。
どろぼうひげ氏「光武・改」
どろぼうひげ氏は
「サクラ大戦2」より光武・改と真宮寺さくらを制作。とくに力を入れたのは光武・改の内部機構とのことで,電飾を仕込んだカメラアイが左右に動くうえ,歩行モーションまで行う。桜は清掃用具の「激落ちくん」を粉状にしたものに着色し,それをスプレーのりで枝に付けたそうで,表現手法の意外さと巧みさに驚かされた。
その他
モデラーによるオリジナル作品のほか,模型/フィギュアメーカー各社からリリースされたセガ関連の立体物も展示されていた。