インタビュー
[インタビュー]障碍のあるゲーマーはどのようにゲームを楽しんでいるのか? 当事者に聞く,ゲーム環境構築とアクセシビリティ
[インタビュー]ゲームをめぐるバリアフリーの現在地はどこか? Xboxのアクセシビリティ・コントローラ開発者,ケイトリン・ジョーンズ氏に聞いてみた
ゲームをめぐるアクセシビリティの問題はここ数年で大きく進化を遂げてきたが,その現在地はどこにあるのか。今回は障害者週間を記念し,Xboxのアクセシビリティ・コントローラ開発者であるケイトリン・ジョーンズ氏に,メールインタビューを実施した。
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- ライター:ノイ村
まずは,実際にAdaptive Controllerなどを活用してゲームを楽しみ,自身も「上虎(うえとら)寝たきりゲーム研究所」と題したブログやSNS,YouTubeなどでの情報発信と,障碍を抱えながらもゲームを楽しみたい/障碍のあるゲーマーを支援したいと思う方のサポートに取り組んでいる,「寝たきり障碍者ゲーマー」上虎氏へのインタビューをお届けする。
さらに,今年発表された新進気鋭のアクセシビリティ・コントローラである「Proteus コントローラー」と,その開発元であるアイルランドのByoWave社に共感し,2024年を通して同コントローラを広める活動に取り組んできたePARA(バリアフリーeスポーツの推進に取り組む企業)によるレポートも併せて掲載している。
これらの内容を通して,障碍を持つゲーマーが実際にどのようにゲームを楽しんでいるのか,企業側のアクセシビリティの取り組みが当事者にとってどのような役割を果たしているのか,そして,発展途上の分野であるアクセシビリティにおいて,今必要なことは何なのかについて,少しでも興味を持っていただけると幸いだ。
「ゲームの中では自由になれる」。「寝たきり障碍者ゲーマー」上虎氏インタビュー
通常のコントローラは「複合的な運動能力が必要」。自身の障碍について
4Gamer:
まずは,上虎さんご自身の障碍について教えて下さい。
上虎氏:
「デュシェンヌ型 筋ジストロフィー」(DMD)という,全身の筋力が徐々に低下していく進行性の難病です。呼吸をするための筋肉(呼吸筋)や心臓を動かすための筋肉(心筋),飲み込むための筋肉なども例外なく影響を受けます。
現在は,気管切開の手術で首に開けた穴(気管切開孔)に気管カニューレ(気管切開チューブ)というチューブを挿入し,そこに人工呼吸器を接続して24時間呼吸管理をしている状況です。自発呼吸はありません。心臓は今のところはお薬で対応できる範囲ですね。食事は手術でお腹に開けた穴(胃ろう)から栄養剤を注入しています。
進行性の病気なので,年々「できないこと」が増えていきます。ベッドに寝たきりで,テレビを見たり日々のスケジュール管理をしたりと,PCが生活の起点になっています。文章はWindowsに最初から入っているアクセシビリティツールの「スクリーン キーボード」(もしくは類似のソフトウェアキーボード)を使って,マウスで入力しています。
4Gamer:
筋力が低下していく病気とのことですが,現在の手足の可動域についてはどのような状態なのでしょうか?
上虎氏:
手は,指が上下左右1cm程度で,腕自体は動きません。実際の長さは測れていませんが,足の指と足首についても,手と同程度ですね。足自体も動かないです。マウスを操作するときには手首を動かすのですが,左右に1.5cm程度,前後に0.5cm程度しか動かすことができないので,感度をめちゃくちゃ上げています。
筋力も弱く,左クリックは押せるのですが,右クリックは病気の進行で無理になりつつあります。そのため,今はマウスのサイドボタンに右クリックを割り当てて,親指で押すようにしていますね。また,ホイールの上下回転はできますが,ホイールクリック(ミドルクリック)は押せません。
4Gamer:
通常のゲームコントローラを操作する上での課題はありますか?
上虎氏:
まず,両手をコントローラの所に持っていって,保持することができません。もし持っていけたとしても,指の可動域や筋力の問題で操作することが難しいという課題があります。通常のコントローラを操作するためには,複合的な運動能力が必要になりますね。
Adaptive Controllerなどを活用して構築された,寝たきりでもゲームを楽しむための環境
4Gamer:
Adaptive Controllerを知った時期と,そのきっかけについて教えて下さい。
上虎氏:
Adaptive Controllerについては,発売前にネットのニュース経由で知って,発売日に早速購入しました。ヘルパーさんと一緒に,試行錯誤しながら導入しました。
4Gamer:
上虎さんの現在のAdaptive Controllerの使い方や,ゲーム環境について教えて下さい。
上虎氏:
機材全体の構成や配置については,次のようになっています。
左足:市販のタブレットスタンドを使い,Adaptive Controller本体の左側ボタン(デフォルトのAボタンに相当)を左足裏ギリギリに設置。弱い力ですが,踏む動作をします。
右足:知り合いの作業療法士さんに作っていただいた「2本のアームの先端に,それぞれタッチセンサーを付けた形状のもの」を設置します。右足首の可動域に合わせてタッチセンサーの位置をアームで微調整し,2方向でタッチできるようにして,各センサーをAdaptive Controllerの3.5mmポートに接続します。本体右側のボタン(Bボタンに相当)は使っていません。
左手:作業療法士さんに作っていただいた「固めのスポンジを土台に,マイクロスイッチ(※)やタクトスイッチ(※)を埋め込み,先端にマイクロスイッチやタッチセンサーを付けたアームを差した形状のもの」を設置します。ただ,全ての機能は使えておらず,現状はスポンジに埋め込まれたマイクロスイッチ4個と,アームの先端に付けられたマイクロスイッチ1個を使っています。左手の親指の可動域に合わせて諸々の位置を微調整し,それぞれAdaptive Controllerの3.5mmポートに接続します。
※マイクロスイッチ:非常に小さな力で作動する電気スイッチ。
※タクトスイッチ:押しボタンスイッチ。
右手:サイドボタンが豊富なマウス(Logicoolの「G600」)を持ちます。ただ,病気の進行により押せるボタンが年々減ってきていて,現状使えているサイドボタンは12個のうち4個です。前述の通り,操作自体にも限りがありますね。また,右手の親指の外側にマイクロスイッチを置いて,Adaptive Controllerの3.5mmポートに繋いでいます。
4Gamer:
このように構築された上で,実際のゲームの操作はどのように行われているのでしょうか?
上虎氏:
まずは,Adaptive ControllerをPCに接続して,福祉目的にも使われることが多い「JoyToKey」というWindowsアプリケーションを使うことで,コントローラからの入力を一旦キーボード入力に変換しています。「JoyToKey」にはさまざまな機能があるので,押せるボタンが少なくても工夫の余地が結構あるんですよ。押す長さで動作が変わる機能を一番よく使いますね。
また,さらに追加の工夫をするために,(Adaptive Controllerからの入力を元にした)「JoyToKey」によるキーボード入力と,右手のマウスのデジタル入力(左クリック・ホイール上下回転・自分は押せないので使っていませんがホイールクリックも使えます)を,「AutoHotkey」(キーボード・マウスの変換に強いWindows用スクリプト言語)で簡易的なスクリプトを組むことによって,さらに別のキーボード入力へ派生させています。
例えば「単なるホイール上回転/Aキー(JoyToKey)を押しながらホイール上回転/Dキー(JoyToKey)を押しながらホイール上回転」を分けるとか,「ホイールを下回転するたびに,方向キーの入力方向をぐるぐる順番に回す」などですね。
最終的には,「さまざまな工夫をしたキーボード入力/マウスのデジタル入力/マウス移動」という3系統の入力を,福祉目的にも使われることが多い「Titan Two」もしくは「Titan One」という,PC上のキーボード・マウスを読み取れる珍しい変換器でコントローラ入力に変換することで,ゲーム機に出力しています。
4Gamer:
Adaptive Controllerを導入したことによるメリットや,ゲームライフにおける変化があれば教えて下さい。
上虎氏:
タッチセンサーやマイクロスイッチなど,自分の可動域や筋力に合った3.5mm端子のデバイスを簡単にゲームに導入できて,しかもゲームに必要な数を一気に用意できるようになったので感動しました。今までは家族や理学療法士・作業療法士の方々に頼んでコントローラを電子工作で改造するか,諦めるかしか選択肢がありませんでした。コントローラの改造には技術を必要としますし,難度は高かったです。
また,Adaptive Controllerを,3.5mm端子の福祉用途のデバイスをUSBに変換して,PCに接続できるようにしてくれるという「ゲーム用途以外にも使えるスイッチインターフェイス」だと解釈すると,3.5mmポートの圧倒的な多さと価格もあってコストパフォーマンスは抜群だと思います。
より多くの選択肢やヒアリングを。Adaptive Controllerを使う中で感じた課題
4Gamer:
Adaptive Controllerを利用する中で感じた課題点について教えて下さい。
上虎氏:
左/右スティックの上下左右,計8種類の入力を3.5mmポートに用意しようとすると,空いているポートが(ジョイスティックの入力に相当する)「X1」と「X2」の2個しかないため,ポート数が足りなくなってしまいます。
もし後継機の予定があるなら,各方向に相当する計8個分の3.5mmポートを追加で付けてほしいと感じました。本来であればUSBジョイスティックを用意すればいいのですが,障碍が重度になるとジョイスティックを操作すること自体が難しいので。Adaptive Controller側で選択肢を用意してもらうのは重要だと思います。
また,スティックの入力については,何パーセント倒すのかについても指定できた方がいいと思いますね。ゲームによっては「スティック半倒し」が「ゆっくり歩く」等の操作に割り当てられている場合がありますので。
ほかにも,ホールド操作をする時の自動解除機能や,シフトボタン(1つのボタンに複数の機能を割り当てられるボタン)の自動ホールド機能もあった方がいいかなと思います。自動解除するしないを選べて,何秒後に自動解除するかも指定できる,といった感じです。連射機能もあると助かりますね。「押している間連射」,「1度押したらもう1度押すまで連射」,「1度押したら何秒間連射」を選べて,連射速度の指定ができるとなおいいです。
ただ,障碍者が実際に押すことができる3.5mm端子デバイスを全ボタン分用意できるかというと,障碍が重度になればなるほど数的な意味で難しくなっていくと思うので,少ないボタンでも工夫の余地を持たせられる機能を充実させてほしいと感じています。Adaptive Controllerにはシフトボタンが用意されていますが,現状ではまだまだ十分とは言えないかなと思いますね。
4Gamer:
当事者へのヒアリングやフィードバックとの反映といった,開発プロセスに対する要望などはありますか?
上虎氏:
おそらくさまざまな専門家や患者団体の方々にも聞き取りをされていたとは思うのですが,重度身体障碍者の中でもより重度寄りな,自分のようなゲーマー当事者にもどういう機能が必要かといったヒアリングをしてほしいと感じました。ハードウェア自体を要望に応じてアップデートしていくのは難しいかと思いますが,ファームウェアのアップデートであれば,さまざまな機能を追加できると思います。例えば,シフトボタンとホールド機能には改良の余地がまだまだあると思いますね。
4Gamer:
具体的には,どのような改良の余地があると思いますか?
上虎:
少ないボタンでも工夫の余地を持たせられる機能の例を挙げていきます。
プロフィールボタン(コントローラーのプリセットを切り替えるボタン)を3.5mmポートに割り当てられるようにする:本来であれば,「戦闘画面用/メニュー画面用/その他用」等でプロフィールを分けて,常に切り替えながらゲームを進めたいのですが,現状のAdaptive Controllerにはこのボタンを割り当てられるポートがないため,自力で切り替えることができません。ボタン不足を補うために最も押す頻度が高くなるので,一番押しやすい3.5mm端子デバイスに割り当てられるようにしたいですね。もしくは,シフトボタンが第2まであって,かつ,シフトボタン自体のホールド機能があれば代用できると思います。
シフトボタン含め,押した秒数でボタンの動作を変える:例えば,秒数を「0.5秒以下/0.5秒〜1.5秒/1.5秒以上」の3段階で設定して,それぞれ固有の動作を割り当てられるといいですね。ただ,3段階目はそのまま動作を続ければ長押し操作ができますが,1段階目と2段階目の長押し操作は識別できなくなってしまうので,ホールド機能と組み合わせるなどの対応が必要になりそうです。
シフトボタン含め,何秒以内に何回押したかでボタンの動作を変える:例えば,「3秒以内に3回ボタンを押すと,この動作をする」などですね。ただ,長押しができなくなってしまうので,そこは,ホールド機能と組み合わせるなどの対応が必要になりそうです。
マウスだけでAdaptive Controllerの操作を代用できるツール:Windowsに最初から入っている「スクリーン キーボード」(もしくは類似のソフトウェアキーボード)で普段から文字入力している障碍者向けの機能です。「操作できる3.5mm端子デバイスもしくはUSBデバイスの数が少ない→マウスは使える→画面上のボタンをクリックして組み合わせたい」というのがよくあるパターンなのですが,選択肢を用意するという意味でも,セットアップツール(Xboxアクセサリー)の機能の一つ,もしくは専用アプリケーションとして,「Adaptive ControllerがPCに接続されている時に使える,マウスだけでAdaptive Controllerを操作できるツール」があればすごく助かるのではないかと感じました。
4Gamer:
なるほど,押せるボタンの数に限りがある以上,押し方に応じて違う機能を持たせられるといいわけですね。
では,Adaptive Controllerはどのような方にオススメできると思いますか? また,逆にどのような方にはオススメしづらいと思いますか?
上虎氏:
押せるボタンをある程度用意できる方にはオススメできると思います。一方で,押せるボタンが少ない方にはオススメしづらいと思いますね。
「バイオ」をやり込み,「軌跡」シリーズを愛する上虎氏
4Gamer:
上虎さんの好きなゲームについて教えて下さい。また,最近遊んでいるタイトルはありますか?
上虎氏:
「バイオハザード」が大好きで,いつもトロフィーとレコードをコンプリートするまでやり込んでいます。特に,「バイオハザード RE:4」は屈指の名作だと思います。
アクションゲームの中では「バイオ」の操作は意外とシンプルなイメージです。自分の場合は,左スティックの左右を省略して,右スティックと左スティックの上下による操作で対応しています。左に行きたければ,まず右スティックで左を向いてから前進する感じですね。
あと,「英雄伝説 軌跡」シリーズ(以下,「軌跡」シリーズ)というRPGシリーズも大好きで,今はちょうど,今年発売された「英雄伝説 界の軌跡 -Farewell, O Zemuria-」をプレイ中です。ターン制の戦闘で操作も難しくありません。
4Gamer:
上虎さんは,「軌跡」シリーズに特に思い入れがあるんですよね。
上虎氏:
18年前の話(2006年)になりますが,気管切開の手術を受ける時に,「声を失う可能性もあるし,ずっとベッドの上での生活になるし,これからはPCで何でもできるようにならないといけないな。マウスは持てるけど,マウスだけで操作が完結するゲームってノベルゲーム以外にあるのかな? アクションゲームはマウスだけだと無理だろうけど,RPGならあるかも」と考えました。
それで,マウスだけでも操作できるRPGを探し始めたのですが,「マウス・キーボード」という条件であれば多少は見つかりつつ,「マウスのみ」の条件を満たすゲームはなかなか見つけられずに苦戦していたところ,シリーズの第1作目である「英雄伝説VI 空の軌跡」(PC版・2004年)に辿り着きました。大好きなJRPGだし,このゲームは今後もやっていこうと決めたんです。
その後,シリーズがPSPやPS3に移行してしまい,コントローラやPSP本体を手で持つことができないので絶望したり,第4作目「英雄伝説 零の軌跡」(PC版・2011年)と第5作目「英雄伝説 碧の軌跡」(PC版・2013年)はPC版が中国語版しかなくて,強引に日本語化しようとしたら,部分的に中国語が残ってしまって残念な思いをしたこともありました。ですが,現在はAdaptive Controllerと,「Titan Two」もしくは「Titan One」を組み合わせて遊ぶことができています。
4Gamer:
上虎さんにとって,興味はあるけれど,操作面からまだ遊ぶことができずにいるゲームはありますか?
上虎氏:
アクションRPGは苦手ですね。RPGだから操作はそこまで難しくないだろうと思っていても,実際にやり始めると苦労する場合が多いです。
今後のゲーム業界に望むこと。そして,ゲームが持つ可能性について
4Gamer:
現在のアクセシビリティを巡る状況について,上虎さんから業界に対する要望やアイデアなどがあれば教えて下さい。
上虎氏:
ここ数年で各社からアクセシビリティコントローラが発売されましたし,障碍者ゲーマーの存在がメーカーに認知され始めているという意味では,いい流れが生まれていると感じています。ただ,繰り返しになりますが,障碍者が実際に押すことができる3.5mm端子デバイスを全ボタン分用意できるかというと,障碍が重度になればなるほど難しくなっていくと思うので,少ないボタンでも工夫の余地を持たせられるような機能を充実させてほしいですね。
また,既存のゲーム機においても,タッチパッドやジャイロセンサーなどの特殊な入力方法は,重度身体障碍者の多くが苦手とする操作だと思うので,必ず代替操作も用意する,もしくは,必ず設定で割り当てを変更できるようにする,などの工夫があると助かります。特に,「タッチパッドの左側/右側を押す」という動作には毎回悩まされています。
PCゲームについては「スクリーン キーボード」(以下,OSK)との相性が悪いのが気になりますね。「このタイトルではこれはできるけど,あれはできない」という感じになっているので,アクセシビリティの観点から仕様などが統一されると助かります。
4Gamer:
OSKについて,具体的には,どのような「できる/できない」があるのでしょうか?
上虎氏:
最近のタイトルをいくつか実際にプレイして試してみたのですが,例えば,3Dのタイトルでは,マウスで視点移動をすることが多いためか,マウスカーソルが強制的に非表示になってしまいます。
しかし,OSKを操作する時にはカーソルが必要なので,このジレンマが壁になります。OSKを使う場合は,そもそもマウスで視点移動をしないこともあるため,「マウスカーソルの表示/非表示をユーザーが選べる」ことは重要だと思います。
ちなみに,「ストリートファイター6」にはこの設定があり,実際の対戦画面ではカーソルを最初から表示してくれます。ただし,ストーリーモードの「ワールドツアー」では視点移動があるためか,デフォルトでは非表示になっています。
メニュー画面などではカーソルが表示されることが多いのですが,ここでカーソルをウィンドウの外に出すことができるタイトルと,できないタイトルがあります。最近は出せるタイトルが増えてきている印象ですが,出せない場合はOSKを予めウィンドウ内に置いておく必要があるので不便ですね。ムービーシーンやローディング画面のような視点移動のない場面で,細かくマウスカーソルを解放してくれるようなタイトルはありがたいです。
あと,画面上に表示されるボタンのガイド自体をクリックできるようになっているタイトルも増えてきていますが(例:「決定:Enter,キャンセル:Esc」と書かれているが,キーを入力しなくてもそれ自体をクリックすることで反応する),これも助かりますね。
また,ウィンドウモードやボーダレスウィンドウモードを使っている時,マウスで視点移動をする場面(マウスカーソルが非表示の場面)でも,OSKの範囲にマウスを合わせるとカーソルが表示されて,OSKを操作できるタイトルも増えてきています。
これもありがたいのですが,OSKを操作しようとすると(視点移動と認識されて)視点も動いてしまうため,キャラクターの移動に苦労してしまいます。逆に,ウィンドウモードやボーダレスウィンドウモードであっても,OSKをウィンドウ内に表示すること自体ができないタイトルもあります。
4Gamer:
最後に,上虎さんがゲームを好きな理由を教えて下さい。また,ゲームにはどのような可能性があると思いますか?
上虎氏:
「現実世界では重い障碍があって体が動かないけど,ゲームの中では自由になれる」。それがゲームが好きな理由です。それに,ゲームをすることはリハビリにもなると考えると,モチベーションが高い状態で取り組むことができます。
重度身体障碍者は現実世界では何をするにしてもハンデがあり,できることに制限があります。「ボタン1つで参加できる世界がある」というゲームには,無限の可能性があると思います。
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