[ECTS速報#5]Tom Clancy's Ghost Reckon - 09/03 12:30

 Ubi Softwareブースでの一番の注目作品が「Tom Clancy's Ghost Reckon」だ(E3時点での速報は「こちら」)。トム・クランシーの小説を題材にしたタクティカルシューティングゲームで,"Tom Clancy's Rainbow Six"でお馴染みのRed Storm Entertainmentが開発している最新作である。Rainbow Sixの続編と勘違いする人もいるようだが,本作は全く別の作品であり,Red Stormの新たなフラッグシップになる可能性を秘めている。

 "The Ghost"とはクランシーお得意の特殊部隊で,国際紛争の局地に送られる少数精鋭の兵士たちで構成される。もっとも,その実体は政府や軍部からは明らかにされておらず,存在さえも定かではないのだ。国連から借り出されることも多いというゴーストたちの任務は,敵陣の破壊工作や捕虜の救助などであるらしい。
 ゲームエンジンは全くゼロから開発されたもので,樹木の葉が風によって揺れたり,水面が風景を反射したりなど,細かい描写を可能にしている。会場でのデモはPentium 4搭載のシステムが使用されていたが,目で分かるほどフレームレートが低かった。ただ,開発者の話ではPentium 3やAthlonでは問題なく作動しており, Pentium 4にはまだオプティマイズされていないだけとのこと。

 開発元の製作理念に乗っ取り,リアリズムはとことん追求されているのがこの作品の特徴だ。画面中心のポインター(敵に照準を定めるための十字点)の周りにはリロードするときにメーターが表示されるのだが,使用する武器によって時間が異なるのが分かる。自動小銃は短時間でリロードできるが,対戦車バズーカでは非常に長い時間なのだ。これはなんと,実際の兵士たちに各武器のリロード作業を行ってもらって,どれくらいの時間を要するのか計ったのだという。
 またRainbow Sixからは"ワンショットキル"システムが継承されており,頭部や胸部に被弾すれば,一発で敵を仕留めることができる。ただ,リアリズムにおいて軍事マニアには不評なのが,画面下中央にあるレーダーである。一番近くにいる敵兵の方向に向かって赤く光るのだが,それはどこかアクション系のシューティングゲームのようなイメージがある。
 開発者もそれは十分承知しており,このレーダーを採用したのには確固とした理由があるのだ。本作はRainbow Sixとは違い,ほとんどのミッションが屋外で行なわれる。なのでゲームステージが広すぎて敵を探すのに手間取り,ゲーム性が損なわれるのを考慮しているのである。言われてみればマップは非常に広い。ある種"リアリズム"と"ゲーム性"のバランスをとるための策なのだろう。
 なおRainbow Sixの敵は,テロリストとはいえ軍事訓練においてはシロウト。しかし本策"Ghost"は,武器も本格的なものを保有する一国の軍事組織なのだから,並大抵のことでは制圧できない。数十人のメンバーからなるゴーストたちは,近代兵器に身を包んだ少数グループに分かれ,プレイヤーの指示によってミッションをこなしていくのだ。ミッションは20種類程度あり,1ミッションで12人までの兵士を選択することができる。

 Raibow Sixとゲームシステムも異なる。ミッションブリーフィングでは,そのミッションの遂行に適した人材をリストから選択し,グループ分けすることが必要だ。各兵士には名前も付いているし,ウェポン(武器の使用),ステルス(隠密行動),エンデュアランス(戦場での忍耐力),そしてリーダーシップ(グループをまとめる力)の4種のパラメータが存在する。これらのステータスは,兵士によっては得意不得意があるし,彼らをミッションで使うことによって,1から8までのレベルに上昇していく。いったんミッションが始まれば,コマンドウィンドウでグループごとに簡単な指令を出すことができる。もちろん,プレイヤーはどの兵士でもプレイすることができるが,本作にはより戦略的な要素が加味されているといえるだろう。
 当然マルチプレイヤーモードもあり,チーム対戦は相当緊張感のあるものになりそうだ。開発は順調に進んでおり,12月には欧米で発売が予定されている。


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