[ECTS速報#14]World of Warcraft<詳細> | - 09/04 12:16 |
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先日の公式発表会の速報に引き続き,今回は実際にデモンストレーションをしてもらったので,その報告。 Blizzardのブースに入ってまず驚かされたのが,World of Warcraftが実際に動いている状態でデモされていたことだった。もちろん,ローカルサーバーを使ってLANで3体のプレイヤーキャラクターが登場しているだけだったが,このゲームの世界観が伝わってくるには十分すぎるほどのデモだったといえる。以下デモから見て取れたことを,順を追って解説していこう。 まずキャラクター製作だが,ヒューマン,オーク,トーレンの3種族にそれぞれ男女のプレイヤーキャラクターを選択でき,顔の容姿,ヘアースタイル,ヘアーカラー,スキンカラーの4種を設定できる。昨今のMMORPGにしては設定項目が少ないような気もするが,開発者は 「数千人をサポートするゲームなので,それぞれのプレイヤーがキチンとユニークに見えるだけのテクスチャアートは用意する予定です」 と語っていた。キャラクターは,設定画面ですでにゲーム内の3Dキャラクターモデルと同じものが使われているが,目の玉が動いているということに驚かされる。また,"スケルタルアニメーション技法"という,骨格を製作してからポリゴンで肉付けされていく方式が採用されているが,アゴにまで骨が想定されているほど複雑なアニメーションが見られるのにも驚き。 デモは,3種族の男性キャラクターでパーティーを組んでいるという設定で始まり,のどかなヨーロッパの田舎風のWestfallという土地から始まった。遠くに見える山はもちろん雲や霧などの背景の要素も,一枚絵ではなくデータから生成されたもので,ゆっくりと動いたり形が変化したりするのが分かる。デモを見せてくれた人が"写実的ではない"ことを強調していたが,不自然に形が歪んだ家屋や幹と葉のバランスが不均等な樹木まで,確かにどこかカートゥーンっぽいアートワークになっている。特に女性キャラクターの体型のプロポーションは,日本のアニメに出てくるような漫画タッチなものになっており,アジア圏でも十分に通用するものになる予感はある。 しばらく進むと,2頭のゴブリンに攻撃されている女性がおり,彼女を助けた後にはMoonbrookに行くのが良いという指示を受ける。どうやら,最初のクエストが発生したようだ。MoonbrookはWestfall地方にある小さな町で,しばらく前に盗賊の一団に乗っ取られてしまっている治安の悪いところだという。ここでNPCに話しかけると,何かを取って来れば報酬がもらえるという新たな展開が見られた。これらのクエストは,プレイヤーのキャラクターのレベルによって難度や報酬が変更される予定らしい。しかし,具体的にどのようにしてクエストを個別のプレイヤーに与えるかなどの気になる部分については,既存のMMORPGに仕様が盗まれることを恐れて,詳しく触れられることはなかった。 その後,担当者が走って石橋を渡ると,そこはDuskwoodという樹木のうっそうと茂る森林地帯。WestfallやDuskwoodなどの地方は,どうやらエバークエストでいうところの"ゾーン"に相当するようで,それぞれにいくつかの町や宿営地が存在している。ただ,ゾーンが新しくなったかどうかは,画面中央にその地方の名前が数秒間文字表示されるくらいで,ラグなどはまったく発生しなかった(ゲームプレイムービーにも,そのシーンは一瞬登場する)。さらにDuskwood地方では,樹木の枝に漂うクモの巣が不気味な墓場があるDurkshireや,鍛冶屋で特殊な武器を製作してもらうクエストが発生したGoldshireなどの町を訪れた。 ちなみにキャラクターが保持する武器はキャラクターの身長ほどもあって,カッコいいデザインのものが多い。プレイヤーキャラクターは飢え死することはないが,ヘルスの回復などで食料は重要な役割を果たすようだ。またアズレアの世界には,DAoC(Dark Age of Camelot)同様"バインドストーン"というものが存在しており,あらかじめこの石にキャラクターが触れておくことで,キャラクターが死んでしまったときにそこから再スタートしたり,クエスト終了後に瞬間移動のスペルで簡単に帰還できるようになっていた。 カメラ視点は第1人称や第3人称視点に設定できるほか,WarcraftIIIそっくりの"かなり引いた角度"でもプレイ可能だ。マウスの右ボタンを押したままでカメラを移動させるだけでなく,マウスのホイールを回せば,キャラクターの背後から第1人称地点まで,プレイヤーのお気に入りの視点に調節できる。これは,なるべくキーボードを触らなくても簡単にプレイできるようにとの,初心者プレイヤーへの対策として考案されたのだという。 さらに細かいところでは,キャラクターの頭と体が別々にアニメーションされるというのもウリだ。マウス操作一つでキャラクターが首の向きを変え,キャラクターの見ている方向を変更させることができるわけだ。これは,例えばパーティーが輪を囲んで一休みしているような状況で,1人のプレイヤーが「おい,あそこにスケルトンウォーリアーの大群がいるぜ」というような会話をしたとき,そのキャラクターが向いている方向だけでほかのプレイヤーがどの方向を見るべきかが瞬時に理解できるようになる。3DのMMORPGでは,特に背後にいる敵や味方プレイヤーの識別や後方感覚が難しかったことを考えると,中々役に立ちそうな機能である。 アクションシーンは日本のRPGを連想させるようなシステムで,敵に向って剣を振り下ろすごとに,相手に与えたダメージポイントが表示されるようになっている。残念ながら今回のデモでは剣以外の武器は見られなかったが,開発者は,槍や弓などをボタン一つで自在に持ち替えながら戦えるようなシステムになることを匂わせていた。ちなみに,昨日の速報でお伝えした木の妖精のようなモンスターは,WarcraftIIIに登場するTreantと呼ばれるモンスターであることが判明した。実際に画面を覆い尽くすような大きさで,非常に体力のあるモンスターであるのは容易に想像できた。これもムービーの最期に登場するので,ぜひ一度ご覧あれ。 リリースまで少なくとも2年はかかることになるだろうが,かなり具体的な形になっていたのには驚き。しかし細かい部分まではまったく説明がなされなかったのも事実だ。プレイヤーキャラクター同士のクラン戦やノンコンバットスキル,ほかのキャラクタータイプの存在も示唆されたが,詳しいことまで踏み込んでは聞き出せなかった。 まだWarcraftIIIさえ発売されていないので(なにせWoWはWarcraftIIIからさらに数年後の世界だ),次にこのゲームの情報が大きく公開されるのは,2002年5月のE3あたりになるだろう。 最初から大風呂敷を広げすぎると,WarcraftIIIのときのように"ゲームバランスの観点からプレイヤー種族を2種減らしました"というだけでマイナスイメージができてしまうというのはBlizzardだってすでに体験しているはずで,それを受けてか今回のECTSでは,"こういうふうになるよ"というコンセプト的な話が多かった。今回のデモだけでも相当期待できるものだったが,実際にWorld of Warcraftがリリースされるころには,MMORPGファンやWarcraftファンだけでなく,多くのプレイヤーを魅了する非常に洗練されたゲームシステムが用意されているはずだ。 画面などは,昨日のNews「こちら」も参考にしてほしい。 |