[Vivendi#7]「Middle-Earth Online」はクエストや"持ち家"についての情報を公開 - 2003/09/17 19:53

 「Middle-Earth Online」は,J.R.R.トールキンの指輪物語に登場する世界"Middle Earth"(中つ国)をモチーフにしたMMORPG。今年のE3から情報が徐々に出始めており,今回のイベントでは,主に"持ち家"に関するシステムとクエストシステムについての情報が公開された。デモンストレーションを担当してくれたのは,Middle-EarthのプロデューサーであるChristopher Taylor氏と,同じくMiddle-Earthの開発に携わるMarwan A. Abderrazzaq氏の二人で,二台のPCを使って協力プレイを行いながらの進行となった。

 まず最初に持ち家に関するシステムの説明があった。プレイヤーは個人,あるいはギルド単位で家を購入することができ,家にはアイテムを保管できる宝箱が設置されているほか,パーティ会場にもなる地下会場や,多くのプレイヤーが集うであろうロビールームなど,いろいろな施設/部屋が用意されている様子。家作りの自由度もかなりありそうだ。また現在では絵画一枚しか用意されていなかったものの,誰かが作った家具や買ってきた調度品で室内を飾り付けることも可能とのこと。
 デモンストレーションでは,既に大きな家を購入した状態で始まっていたが,当然ながら家の購入には多額の資金が必要になり,家を維持するには定期的に"家賃"を払う必要があるらしい。もちろん,それを支払えない場合は,容赦なく立ち退きを要求されてしまうというのだ。これは,現在稼働中のMMORPG「Dark Age of Camelot」でも採用されているもので,要するにゲーム内経済の消費システム(お金を稼ぐ動機付けの一つといえる)的な要素。大きな家を買えば買うほど常時支払うべき金額も大きくなってしまう点などを考えると,このシステムは,ギルドを始めとしたプレイヤー間コミュニティの発達(一人では家を維持できないため)をも考慮している,優れたシステムだといえるのではないだろうか。
 ただ,家賃を滞納すると家の権利がなくなってしまうといっても,もちろんなんの前触れもないままいきなり家がなくなってしまうというわけではなく,滞納の段階(?)に分けて警告文が送られるようなシステムが盛り込まれるとのことだった。これは現実の世界にもある程度リンクしていて,例えばメールで家の窮状を知らせてくれたりだとか,そういった二次的サポートも積極的に行っていく予定だという。

 持ち家の簡単な紹介を終えたあと,クエストシステムについて解説が始まった。聞くところによると,Middle-Earthに用意されているクエストの数は,現段階では約250種類前後。クリアまでに非常に長い時間を必要とするEpic Questから,すぐにクリアできる町中のミニクエストなど,さまざまな種類のクエストが盛り込まれていくようだ。
 また本作のクエストシステムのユニークな点は,広大なマップをむやみに走り回って移動しなくてもいいように,クエストに関連があるダンジョンや地域へは一瞬でワープしていけるというところ。さらに,最新のMMORPGの流行(?)である"Private Area"システムが採用されるようで,クエストが発生するとある種のパラレルワールドが作成され,パーティメンバーやパーティ参加希望者は,一瞬でその空間へのワープを行うことができるらしいのだ。Taylor氏によれば,これによって時間のない人でも気軽に楽しめるMMORPGを目指すのだという。

 しかしながら筆者には,原作が非常に強い本作に限っては,そこまでゲーム的であることに抵抗を感じてしまうユーザーもいるのではないかと思う。そもそも,広大な中つ国の再現やそれに触れる面白さと,そういった"便利機能"は果たして共存が可能なものなのだろうか? 精魂込めて構築した広大な世界が用意してあっても,そういったワープ機能を多用されてしまうと,なんの意味も成さないのではないだろうか? 
 誰にも邪魔されないPrivate Areaなどの概念は,確かに"便利"かもしれない。だが,それがそのまま面白さに繋がるかどうかについては,少々疑問が残るところだ。例えば,モンスターの狩場が混んでなかなかアイテムが取れなかったりするのは,もどかしいかもしれない。しかし,みんなが取ろうと躍起になるからこそ,そのアイテムは価値があるもののであり,誰もが簡単に取れてしまうようなものには,なんの有り難みもないのではないだろうか。便利さ自体は否定するつもりはないが,便利さとはある種の無駄を削る要素/仕掛けだと思う。なんでもかんでも便利にすればいい,というのは,言い換えれば"面白さをも削り混んでしまう危険性を含んでいる"ような気がしてならない。

 Middle-Earth Onlineは,「Middle Earth(中つ国)をモチーフにしたMMORPG」であり,このフレーズを聴いたユーザーが,なにを連想するのか? それが重要だと思う。指輪物語の味付けをした"ゲーム"を遊びたいのか,指輪物語の"世界の中を冒険"してみたいのか,どちらの声がより大きいのかを,今一度調べる必要があるだろう。ともかく,本作は題材が非常に興味深いものであるだけに,中途半端な内容にはしてほしくないものだ。(TAITAI)


友達にメールで教えよう!
←Back to Daily News
←Back to News Archive