[TGS2003 #30]「Half-life2」シアターの解説者にミニインタビュー - 2003/09/29 04:55


 ついにアジアで,しかも日本で生映像が公開された「Half-life2」(シアターの様子は,先ほどのNews「こちら」参照)。1回の上映は約20分で,1時間置きに上映されていたのだが,その上映と上映の合間を縫って30分ほど,解説を担当していたValve Software社Doug Lombardi氏に話を聞くことができた。
 といっても,わずか30分では多くのことを聞けないので,これまで意外と語られてこなかった本作の「ゲーム部分」についてに絞って話してもらった。

■ソースエンジン以外の魅力とは?
forGamer(以下,4G):
 今まで,「Half-life2」の話というと,どうしても物理エンジンの凄さなど,技術面ばかり語られてきました。そこで今回は,そういった技術面以外の,つまりHalf-life2のゲームとしての魅力について教えてください。

Doug Lombardi氏(以下,Doug):
 確かに私も技術的な答えばかり用意していたので,少し時間をください(笑)。……そうですねぇ,まずストーリー自体が非常に魅力的だといえるでしょう。

4G:
 というと? 具体的には?

Doug:
 前作で残った謎の多くが,本作で解明されるはずです。

4G:
 多くということは,全部が解明されるわけではないんですね?(笑)

Doug:
 ええ,多少は謎が残ります。

4G:
 ちょっと気が早いですが,それは次回作を期待してもいいということですよね?

Doug:
 まぁ,そういうものを作成するかもしれませんね(笑)

4G:
 まぁずいぶん先のことでしょうが,期待しています。ところで,単に前作の謎が解明されるだけでは,ストーリーが魅力的といわれてもあまりピンと来ないのですが。

Doug:
 しかし,内容を話すわけにもいきませんしねぇ(笑)。じゃあ,キャラクターの魅力と言い換えましょうか。
 前作のリリース後に,多くのゲーマーからアンケートを採った結果,「キャラクターが画一的」という意見が非常に多かったんですよ。"いかにも"といったキャラクターが多いといいますか。そこで本作では,"語りかけてくるような"キャラクターを目指しました。インタラクション(相互作用)や,表情の豊かさなどですね。

4G:
 そういえば,キャラクター達のAIもかなり進化しているとか?

Doug:
 前作でも,コンバットに関するAIは作り込みまして,それなりの出来になったと自負しています。本作ではさらに一歩踏み込んで,ストーリーとのインタラクションができるAIを作りました。簡単にいえば,キャラクター達はその瞬間の状況にあった行動をするだけでなく,ストーリーの展開に合わせた行動を取るわけです。

4G:
 ストーリーとインタラクションですか。もう少し詳しく教えてください。

Doug:
 例えば公開しているムービーで,ストライダーという巨大な3本足の生き物が出てきますよね。こいつが町中を練り歩くとき,橋がある場所では,ちゃんと橋の下をくぐって通っていきます。これはストライダーが,ストーリー上そこに橋があるということを認識できているからですね。

4G:
 なるほど……。味方キャラクターのAIについても同様の細かい処理がなされていると考えていいですか?

Doug:
 味方とは限らないのですが,お互いの関係や感情によって,アクションが変わるようになっています。例えばAlyxと一緒に行動していて,さらに警官のキャラクターが登場するとしますよね。このとき,彼女が警官について良い感情を持っているか,悪い感情を持っているかで,反応が変わるんです。

4G:
 それは,そういったパラメータをキャラクターごとに持っているということですか?

Doug:
 まぁそういう表現で間違いではないのですが,多層的な構造で,非常に複雑なものです。

4G:
 プレイヤーキャラクターに対して好印象/悪印象というだけでなく,ほかのキャラクター同士にもいろいろと関係があるということですね。なんとも凄い話ですね。ちなみに,具体的にどのようなことをしたら,相手の感情に変化があるんですか?

Doug:
 Alyxのいる部屋に入ると,彼女はこれまでに入手した情報を,いろいろとGordon(主人公)に語りかけてくるんです。このとき彼女の話を聞かずに,ほかの作業をしていれば,当然彼女は怒り出します。

4G:
 うーん,非常に当たり前のことですが,ゲームでそこまでやるのは,確かに凄いですね。

Doug:
 デジタル世界のキャラクターに対して,いかに微妙なアクションを起こさせるか? というのも我々が目指したことの一つなんですよ。

■世界同時リリース?
4G:
 ……う,残り5分。じゃあ単刀直入系の質問に切り替えます。マルチプレイヤー用のゲームモードは,どういったものが用意されていますか?

Doug:
 もちろん,マルチプレイヤーモードはありますよ。具体的なゲームモードはまだ言えませんが,バラエティ豊かなのは確かです。

4G:
 では世界で誰もが気になっている質問を。先日Dougさん名義で,正式に延期が発表されましたね。しかしforGamerでも記事にしたのですが,海外の通販サイトで出ている発売日は,実にバラバラ……。いったいどれが本当の情報なんでしょう?

Doug:
 まぁ,延期はさせていただきました。で,発売時期ですが,「クリスマス前にはとにかく出そう」といった状況です。

4G:
 クリスマス前に遊べると約束していただけますか?(笑)

Doug:
 ……約束します(笑)。ところで,このクリスマス前というのは,日本でも同じですよ

4G:
 え?

Doug:
 世界中で,同時にクリスマス前に発売するつもりだということです。というのも,Half-life2にはすでに12か国語分のデータを収録してありますから

4G:
 噂には聞いてましたが,改めて聞くとかなり嬉しいですね。では……残り1分を切ってしまったようですね。最後に,待ちわびている日本の読者にメッセージをお願いします。

Doug:
 我々は,日本では伝統的にFPSがヒットしないということを認識しています。しかし,Half-life2で,その伝統を覆すことができればいいな,と思っています。だから,普段FPSで遊ばない人も,ぜひ遊んでみてくださいね。

4G:
 我々メディアも,Half-life2が伝統を覆すことを強く願っています。それでは,ありがとうございました。

 ちなみにこのインタビューは,ATIテクノロジーズジャパン伊藤克己氏が通訳を担当してくれたのだが,インタビュー後にこっそり,「Dougによると,27日までシアターでテクノロジーデモを見せていたHDRレンダリングは,RADEONじゃないと見られないそうです」と耳寄りな情報を教えてもらった。
 まぁATIブースでの展示だけに,ATIに有利な発言をしたとも考えられるが,果たしてHalf-life2に最適なビデオカードはRADEONでファイナルアンサーなのか? まぁクリスマスまで時間はあるし,答えを急ぐこともないだろう。(Iwahama)

「Half-life2」の当サイト内の記事一覧は,「こちら」


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