すでに多くの4Gamer読者が,GC 2006特集で紹介したValveの新作
「Half-Life 2: Episode 2」のムービーをご覧になったことだろう。未見の人は,ぜひ
高解像度ムービーをチェックしてみてほしい。本記事では,そのムービー6点をもとに,話を進めていく。(編注:以下,前作までのネタバレにご注意を)
全体的な展開をまとめると,おそらくはフォールアウトによって崩壊したCity 17から,主人公ゴードン・フリーマンやアリックス,そしてその他多くのレジスタンス兵や一般住人達が山岳地帯へと向かう途中の話のようだ。ストライダーやヘリとの交戦は,落ち武者狩りのようなイメージなのかもしれない。
バギーの上に飛び乗ってくるゾンビなど,スクリプト化されたシーンの数々も相変わらずのデキのようで,そのほかムービーでは,Xenの世界の住人Vortigauntがゴードンの傍らで電気系のパワーを炸裂させたり,ストライダーやその小型版ともいえる新兵器“ハンター”と激しく戦ったりと,なかなか見どころが多い。そもそも,あの今にも崩れ落ちそうな鉄橋につかまっているアリックスは,ゴードンと列車に飛び乗って完結を迎える
「Half-Life 2: Episode One」の続きに相違なく,設定は明らかにつながっている。
そして,G-Manが闇の世界で倒れているアリックスに対し,「あなたはココにいるべきじゃないんですよ。すべてを忘れてくださいな」(You' are not supposed to be here. Forget about all this)と言う背景には,一体何が隠されているのか?
Episode 1のティーザーで,Vortigauntがアリックスを抱き運ぶ映像が紹介されたり,以前からValve社長のGabe Newell(ゲイブ・ニューウェル)氏が,
「Episode 2では重要な登場人物が死を迎える」などとインタビューで語っていたりすることから,ひょっとしたら彼女がストーリー中で死ぬのではないかというウワサも根強いが,G-Manに“蘇生”されるのだろうか? 三部作の映画シリーズでは,よく「第2作症候群」などとストーリーの中だるみが指摘されることもあるが,ことHalf-Life 2に関しては,アクションとミステリーがともに豊富で,そんな心配はまったくなさそうだ。
ところで,「Half-Life 2: Episode 2」において,Valveの広報担当者Doug Lombardi(ダグ・ロンバルディ)氏が強調していたのが,
「Cinamatic Physics」(シネマティック・フィジックス)という新技術である。ロンバルディ氏は,このムービーデモの紹介に際し,「それがどんな技術であるのか,とりあえずご自身の目で確認してください」とだけしか発言せず,詳しい解説はまったく加えていない。ただ,この技術は映画「ロード・オブ・ザ・リング」や「キングコング」などでCG効果技術開発者/アニメータを務めた,Gray Horsefield(グレイ・ホースフィールド)氏のValve参加で実現した追加テクノロジーであると,ロンバルディ氏は付け加えてくれた。
このシネマティック・フィジックスを,今回紹介されたムービーの中から探してみると,やはりアリックスの鉄橋のシーンに行き着きそうだ。体の重みによって鉄筋が徐々にはがれていき,鉄橋もろともアリックスが谷底へと落ちていくというシーンは,時間的にもスローでキーフレーム・アニメーションによる微調整も行っている模様。表現をリアルな物理効果に頼らずドラマティックに仕立てているからこそ,“シネマティックなフィジックス”ということなのだろうか。ストライダーによって破壊される納屋などにも,このシネマティック・フィジックスが使われていそうだ。
いずれにせよ,Vortigauntの放電効果やゴードンのフラッシュライトからはダイナミック・ライティング効果の利用を見て取れるし,膨大な針葉樹林が生える山岳地帯が遠方まで表示されるドロー・ディスタンスの深さなどからも,Sourceエンジンの進歩を垣間見られるはず。アリックスのペットロボット“ドッグ”とストライダーの対決シーンがあったりと,ストーリーでも魅せてくれるのは間違いない。
残念なのは,Half-Life 2: Episode 2のリリースが2007年第1四半期へと延びてしまっていること。エピソード形式でのディストリビューションなので,このあたりの制作管理はしっかり行ってほしいというのが,多くのファンの思うところだろう。(ライター:奥谷海人)