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AMD,人工知能用途向けアクセラレータ「Radeon Instinct」を発表。次世代GPU「Vega」ベースの製品も展開予定
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発表時点のラインナップは以下のとおり3製品。現行世代モデルであるPolarisおよびFiji世代のGPUに混じって,次世代GPU「Vega」(開発コードネーム)ベースの製品が予告されている点は注目に値しよう。
- Radeon Instinct MI6:PolarisマクロアーキテクチャベースのGPUと容量16GBのメモリを搭載。150W未満の消費電力で,16bit半精度浮動小数点演算(FP16)は5.7TFLOPSに達する
- Radeon Instinct MI8:Fiji世代のGPUと容量4GBのメモリを搭載。175W未満の消費電力で,FP16性能は8.2TFLOPSに達する
- Radeon Instinct MI25:Vega世代のGPUを採用し,広帯域幅のキャッシュメモリシステムや対応メモリコントローラを搭載するという。消費電力は300W未満とのこと
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人工知能用途向けプロセッサの分野では,NVIDIAが大きなシェアを占めているが,Intelを初めとした様々なプロセッサメーカーが,NVIDIAに追いつき追い越せとばかりに積極的な製品展開を進めている。遅ればせながらAMDもGPUベースのアクセラレータ製品を投入し,この分野における地位の確保を狙うということなのだろう。
直接ゲーマーに関わる製品ではないものの,現在と近い将来におけるGPUの動向をウォッチしている人なら,Radeon Instinctの名を憶えておくといいかもしれない。
AMDのRadeon Instinct 公式Webページ(英語)
〜高性能なRadeon InstinctアクセラレーターとMIOpenオープンソースのGPUアクセラレーション・ライブラリーを駆使して、ディープラーニング(深層学習)の推論とトレーニングをスピードアップします。〜
AMD(米国本社:米カリフォルニア州サニーベール、社長兼CEO:リサ・スー)は、サーバーコンピューティングのマシンインテリジェンス時代を加速する戦略を発表しました。新しいハードウェア製品とオープンソース・ソフトウェアは、ディープラーニング・ワークロードの実装が容易になります。新しいRadeonInstinctアクセラレーターは、ディープラーニングの推論とトレーニングのための強力なGPUベースのソリューションを提供します。AMDは、新しいハードウェア製品とともに、高性能なマシンインテリジェンスの実装を可能にするためのGPUアクセラレーター用オープンソースのMIOpenライブラリーと、マシンインテリジェンス・ワークロードの次の進化への礎となるAMDのROCmソフトウェアに新たに最適化されたディープラーニング・フレームワークを発表しました。
廉価な大容量ストレージ、豊富なセンサー駆動データ、ユーザーによる生成コンテンツの急激な増加は、世界にエクサバイト単位の膨大なデータ量を生み出します。高性能GPUにマッピングされたマシンインテリジェンス・アルゴリズムの最近の進歩により、データの処理と識別が大幅に加速され、ほぼリアルタイムで解析が得られます。Radeon Instinctは、マシンインテリジェンスのためのオープンソフトウェア・エコシステムの青写真であり、推論の解析とアルゴリズムトレーニングのスピードアップに役立ちます。
AMDの社長兼CEOであるリサ・スーは、次ように述べています。「Radeon Instinctは、高性能GPUアクセラレーターとMIOpen・ROCmの無料オープンソース・ソフトウェアをベースにしたアプローチを通じて、マシンインテリジェンスのペースを飛躍的に進歩させる予定です。当社は、GPUとx86シリコンの専門知識を持つ唯一の企業であり、当社のハイパフォーマンス・コンピューティングとグラフィックス機能と多世代ロードマップの強みを組み合わせることで、データセンターの幅広いニーズに対応し、マシンインテリジェンスの普及を促進します」
Radeon Instinctアクセラレーターの特長として、パッシブ冷却、SR-IOV(シングルルートI/O仮想化)業界標準に準拠したAMD MultiGPU(MxGPU)ハードウェア仮想化テクノロジー、マルチGPUピアツーピアサポートに対応した大規模ベースアドレスレジスター(BAR)を割り当てた64ビット PCIeがあります。
Radeon Instinctアクセラレーターは、幅広いマシンインテリジェンス・アプリケーションに対応するように設計されています。
- 定評のあるPolaris GPUアーキテクチャーをベースにしたRadeon Instinct MI6アクセラレーターは、150Wのボードパワーと16GBのGPUメモリーで5.7 TFLOPSのピークFP16性能を持つ、ジョブ/秒/ジュールに最適化されたパッシブ冷却の推論アクセラレーターになります。
- 高性能でエネルギー効率の高い「Fiji」Nano GPUを活用したRadeon Instinct MI8アクセラレーターは、175W以下のボードパワーと4GBの高帯域幅メモリー(HBM)で8.2 TFLOPSのピークFP16性能を実現する小型フォームファクターHPCおよび推論アクセラレーターとなります。
- Radeon Instinct MI25アクセラレーターは、AMDの次世代高性能Vega GPUアーキテクチャーを使用し、ディープラーニング・トレーニング用に設計され、解答の時間短縮に最適化されています。
さまざまなオープンソースソリューションがRadeon Instinctのハードウェアを強化していきます。
- MIOpen GPUアクセラレーション・ライブラリー:高性能なマシンインテリジェンスの実装を促進するため、無料のオープンソースMIOpen GPUアクセラレーション・ライブラリーが2017年第1四半期に利用可能になる予定で、コンボリューション、プーリング、活性化関数、正規化およびテンソル形式などの標準ルーチン用のGPUチューニングされた実装を提供する予定です。
- ROCmディープラーニング・フレームワーク:ROCmプラットフォームは、Caffe、Torch 7、Tensorflow*などの一般的なディープラーニングフレームワークの高速化にも最適化され、プログラマーがROCmのリッチインテグレーションを通じて、低レベルのパフォーマンスチューニングよりニューラルネットワークの学習に集中することができます 。ROCmは、線形代数とテンソルのドメイン固有のコンパイラーおよびオープンコンパイラーと言語ランタイムを備えた、マシンインテリジェンス問題集の次なる進化の基礎となることを目指しています。
AMDは、今日のPCIe Gen3標準を超えて将来のマシンインテリジェンス・アプリケーションの性能をさらに高める相互接続技術の開発にも投資しています。AMDは、X86、OpenPOWER、およびARM AArch64を含むサーバーCPUアーキテクチャーに関わる幅広いエコシステムをサポートする多数のオープンな高性能I/O規格に協力しています。AMDはCCIX、Gen-Z、OpenCAPIの創設メンバーで、Radeon Instinctの将来の25ギガビット/秒のphi対応アクセラレーターとラック間の相互接続に向けて取り組んでいます。
参考資料(英語):
Radeon Instinctに関する詳細情報 Radeon.com/Instinct
Radeon Instinctに関するティザービデオはこちら
AMDテクノロジーを使用したAlibaba Cloudに関するリリース
AMDテクノロジーを使用したGoogle Cloudに関するリリース
ROCmに関する詳細情報はこちら
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Radeon Pro,Radeon Instinct
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Radeon RX Vega
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