インタビュー
2015年にPC版とスマートフォン版のプレイヤーで戦える「覇王戦」が実現――「モバノブ」プロデューサーインタビューを掲載
2014年12月21日にPC版とスマートフォン版のサーバーが統合。PC版とスマホ版を混ぜた覇王戦も実現
4Gamer:
それでは今後の展開についても,教えてください。
まずスマートフォン版とPC版の開発を統合します。これは杉野さんがプロデューサーに就任したころからずっと話を進めていたことです。というのも,11月に数字が上向いたとき,あらためて今後を試算してみたところ,これまでの体制では,ある一定以上には数字が伸びないという結果が出たので決断しました。
4Gamer:
数字が伸びなくなる理由は何でしょう。
藤田氏:
根本的に遊びが足りないからです。せっかく数字が上向いてきたのですから,そこに対して手を打たないわけにはいかないでしょうということで,まずモブキャストさんからは覇王戦の案が出ました。
そしてコーエーテクモゲームスからは,以前もお話したように,東西に分かれて戦うなどの大軍勢の遊びや歴史に紐付いた遊びを導入し,歴史に強いお客様をどんどん増やしていきたいと提案しています。
しかし,これまでのようにスマートフォン版はモブキャストさん,PC版はコーエーテクモゲームスという体制で開発を進めていたのでは,リソースにどうしても限界が生じてしまいます。そこで企画もプログラムも一つにまとめて,厚みを増す方向にリソースを集中させることにしました。
4Gamer:
なるほど,それで開発体制を1本化するわけですね。ちなみに新体制のスタートは,いつ頃になりそうですか。
藤田氏:
開発体制の統合はすでに進んでいます。12月21日には,ゲーム自体にスマートフォン版とPC版のお客様が同じゲーム仕様のサーバーで遊べる環境を提供できる予定です。ただ,アカウントに関してはスマートフォン版はモブキャストさん,PC版はmy GAMECITYと従来どおり分かれており,共有はできないのですが。
4Gamer:
プレイ環境の統合に関して,プラットフォーム間の問題は生じなかったのでしょうか。
杉野氏:
スマートフォン版もPC版もサービス中ですから,そのサービスを継続しつつ環境を統合することが一番大変ですね。たとえば統合が完了するまでは,新規イベントを展開できなかったりと,いくつか制約が生じるんです。
藤田氏:
とくにPC版は,スマートフォン版より1か月遅れてサービスをスタートしています。そのため,PC版のお客様をどうやってスマートフォン版のお客様に追いつかせるかがポイントになります。そこで,統合したタイミングで不整合が起こらないよう,まずはイベント開催の調整を行いました。
もう一つはモブキャストさんとmy GAMECITYで,適用ルールが異なることです。ギフトの付与や,名前の文字数などさまざまな点が違いますから,そこを両者の最大公約数で合わせていきました。
4Gamer:
データベースが違えば,単純に合わせるというわけにもいきませんね。
藤田氏:
おっしゃるとおりで,結構大変な作業ではあったのですが……モブキャストさんのプログラマが非常に優秀だったのと,私から言うのもなんなのですがコーエーテクモゲームスからもガッツのあるスタッフを送り込んだので,結構スムーズに進みました。
それこそホワイトボードが真っ黒になるくらい議論を重ねたのですが,結果としてうまくいったと思います。
4Gamer:
ちなみに覇王戦はスマートフォン版でしか開催されていませんよね。PC版の覇王戦は,統合前に実施されるのでしょうか。
藤田氏:
いえ,PC版の覇王戦については統合後に開催します。
4Gamer:
ということは,PC版とスマートフォン版で,双方のプレイヤーを交えた覇王戦になるんですか?
藤田氏:
実はシステムとデータを統合したあと,既存プレイヤーのワールドにはまだPC,スマートフォンの区別が残るため,もう少し調整に時間が必要なんです。そのため,実際にプラットフォームを問わない覇王戦が開催できるのは,2015年1月以降になります。ですが,調整期間中でも各プラットフォームでの覇王戦は行えますので,統合後にPC版のお客様のみ,スマートフォン版のお客様のみの覇王戦を,それぞれ2回ほど開催できる予定です。
4Gamer:
逆に言えば,PC版のみの覇王プレイヤーになれるのは,その2回かぎりというわけですね。
杉野氏:
そうとも言えますね。
藤田氏:
PC版のお客様は,スマートフォン版のお客様より数は少ないですが,勝とうという意識は強い方が多いですから,かなり熱くなると思いますよ。
2015年からは歴史と紐付いた施策を投入
4Gamer:
先ほど,コーエーテクモゲームスが「歴史に紐付いた遊び」を導入したいとおっしゃっていましたが,以前にも関ヶ原の戦いを実現したいと話していましたね。
ええ。そのような大軍勢同士が戦うコンテンツを提供したいと言っていましたが,まだ実現できていません。この点に関しては,お客様からもよくご指摘をいただくのですが,これまでお話してきたような事情から,なかなか手を付けられなかったというのが本当のところです。
しかし,せっかく50万人以上ものお客様がいらっしゃるのですから,「総勢○○人の対決!」みたいなことができたほうが面白いのは確かです。そのために,イベントで使う史実上の合戦や登場させる武将などは,すでにデータベースを作って管理しています。
4Gamer:
それは,いつ,どの武将を登場させるかを明確にするためですか。
藤田氏:
そうです。この合戦とこの武将の組み合わせは,こういう状況下で使いたいというのを早い段階で決めているんですよ。ですから2015年1月以降は,それらのデータに沿ったイベントをどんどん投入して,お客様の希望に添うイベントが必ず展開できると考えています。
進行は遅れてしまいましたが,ゲーム自体は当初の狙いどおり進化しています。繰り返しになりますが,歴史に紐付いたイベントを提供できてはじめて,「モバプロ」から脱却できると言えるでしょう。
杉野氏:
そうですね。たとえば「モバプロ」や「モバサカ」では,野球やサッカーのシーズン自体が一つのイベントとなりますが,戦国時代を舞台とする「モバノブ」にはそれがありません。今後はこれまでの半年で得たものを土台とし,そこに歴史的な要素や「信長の野望」らしさをどんどん投入していくことになります。
藤田氏:
モブキャストさんには,これからも無理難題を持ちかけていくことになると思います。これまでも何か案を出して,それがようやく走り始めたと思ったら,また新しい案を出すという繰り返しでしたし(笑)。
杉野氏:
たしかに(笑)。ですが,そうやって一つ一つ階段を上ってこられましたからね。
4Gamer:
プレイヤーとしては,順調に駆け上ってくれることに期待したいところです。そのほか,2015年1月以降の展開はいかがでしょう。
藤田氏:
ビジネスとしては,もっと楽しんでいただける施策を強化していきます。また武将には,たとえ人気がそれほど高くなくとも,その武将ごとに特徴的な戦い方や政治のやり方があるはずです。私としては,そこにスポットライトを当てたいとも考えています。
4Gamer:
それは,どういうことでしょうか。
藤田氏:
たとえば,デッキに織田,武田ばかりを揃えるのではなく,1戦1戦の中ではここは上杉だろうという場面や,あるいは西の武将を使いたいという場面を,もっと歴史的な側面からバックアップしていきたいです。島津が好きだけど,ゲーム的に弱いから使わないと言うのではつまらないじゃないですか。
ようやくコーエーテクモゲームスもMSGEの使い方が分かってきたところですから,販売する陣形やイベント報酬の武将などを通じて,そういった部分を意識しながらプレイできる状況を作っていきたいです。
4Gamer:
たしかに,能力の高さだけが基準になって,好きな武将が使えないというのは寂しいですね。
ですから人気や知名度ではなく,この陣形にはこの武将,この相手にはこの武将といったような幅は持たせたいです。それが実現できると,「モバノブ」はもっと面白くなると思います。
藤田氏:
あまり有名ではない武将を使って勝ち進むことに対する快感というのも,確実にありますからね。あとは歴史上,相性が悪いと言われている武将同士を同じデッキに入れたら,何か良くないことが起きるとか。
4Gamer:
考えてみれば,裏切りや暗殺が当たり前の世の中ですから……この組み合わせにするとリスクが……なんて妄想もできますね(笑)。
藤田氏:
まさにそれです(笑)。コーエーテクモゲームスは,そういう部分をコツコツ作ってきた会社なので,「モバノブ」でも何かしらの形で実現したいですね。今,いくつか実験はしているんですけれども。
4Gamer:
どんな内容になるのか楽しみですね。それでは,直近のイベント情報なども教えてください。
藤田氏:
大還元フェアとでも言うべき展開を用意しています。福袋はもちろんのこと,年末年始の忙しい時期にわざわざ遊んでくださるわけですから,それに応えてこれからのプレイに役立つものを提供します。もっと言ってしまえば,この年末年始にしっかり遊び込んでいただければ,今後の覇王戦や歴史イベントにも使える資産を揃えられるくらいにしています。
杉野氏:
これから新たに始める,あるいはもう一度最初から始めたいという方には,良いタイミングだと思います。
4Gamer:
事前に教えていただいたところでは,年またぎの覇王戦も開催されるとのことですね。
杉野氏:
はい。さらに,1月5日から行われる年始最初の覇王戦で優勝したお客様には,限定の陣形をプレゼントします。
4Gamer:
優勝で,ですか。それはまたレアな陣形ですね。
藤田氏:
せっかくのお正月ですから,そのくらいやらないと面白くないかなと。
杉野氏:
お年玉ではないですけれども,正月限定ガチャチケットも無料配布します。そのほか有料にはなってしまいますが,お正月限定の武将なども用意しています。
4Gamer:
期待が高まります。それでは最後に,今後の「モバノブ」の展開に期待する人に向けて,メッセージをお願いします。
杉野氏:
すでに遊んでいるお客様は感じていらっしゃると思いますが,モブキャストのSVSを実現する要素として覇王戦を導入しました。また今後はPC版とスマートフォン版のサーバー統合や,お客様全体が形成するピラミッドの調整などを行い,今より数段面白いゲームにできると考えています。さらにコーエーテクモゲームスさんと今まで以上に密接な開発環境を構築しながら,歴史的な要素も強化していきます。ぜひご期待ください。
藤田氏:
SVSの最大の特徴は,お客様の努力と資産を有効活用させるところにあります。それを歴史を扱うゲームとして成立させるのが,私の役目です。そして今,歴史好きな方,MSGEのシステムを楽しんでいる方が,その実力と資産を活かして楽しんでいただける土壌が「モバノブ」にようやく整いつつあります。それを実感していただけるフェーズが2015年1月以降到来しますので,ぜひ期待してください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「モバノブ」公式サイト(PCブラウザ版)
「モバノブ」公式サイト(スマートフォン版)
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(C)mobcast inc./コーエーテクモゲームス All rights reserved.
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