「Intel Arc」搭載ノートPCなら「ELDEN RING」も快適に？ Intelがゲーム分野における取り組みをアピール

Intel製GPUと搭載するゲーマー向けノートPCのリファレンスモデルを披露する，インテル代表取締役社長の鈴木国正氏

　2022年6月17日，Intelの日本法人であるインテルは，東京タワーにあるeスポーツ施設「RED° TOKYO TOWER」で「インテル Blue Carpet Community Kick Off プレスイベント」と題したイベントを開催した。
　イベントの主題は，Intelによるゲーマーに向けたコミュニティサイトの開設と，それを記念したイベントの告知である。しかし，それ以外にも，Intelが近年行っているゲーム分野に向けた取り組みや，独自GPU「Intel Arc」についての話題が扱われたので，簡単にレポートしよう。

東京・秋葉原と大阪・日本橋でショップ連動イベントを開催

　まずは，コミュニティサイトとイベントについて説明しておこう。Intelは6月10日に，ゲーマー向けコミュニティサイト「RUGs Supported by Intel」をオープンした。サイトの開設を記念したイベントも，6月17日と18日に行う予定だ。

6月17日19時から「モンスターハンターライズ：サンブレイク」，6月18日19時から「VALORANT」のイベントが行われる

　さらに，6月18日には東京・秋葉原で，6月25日には大阪・日本橋で，ゲーム分野に強いPCパーツショプと連動したイベントを行う予定である。イベント参加店舗で対象製品を購入すると，ゲーマー向け周辺機器が抽選で当たる抽選会に参加できるキャンペーンもあるので，ゲーマー向け製品を買おうと思っている人は，イベントのタイミングを狙うといいかもしれない。

秋葉原と日本橋でショップと連動したイベントも行われる

ゲーム分野に本気で取り組んでいるIntel

　4Gamerでもたびたび取り上げているように，Intelは以前からゲーマー向けの製品を展開するだけでなく，世界的なeスポーツイベント「Intel Extreme Masters」の開催や，ゲーム開発者への支援を通じて，ゲームとコミュニティに対する取り組みを行っている。
　そして，2022年には，Intel独自のアーキテクチャを採用する単体GPUのIntel Arcをリリースする予定だ。

イベントに登壇したインテル第二技術本部部長の安生健一朗氏（左），鈴木氏（中央），Ritche Corpus氏（右，Intel Accelerated Computing Systems and Graphics Group(AXG) VP＆GM of Game Ecosystem Business Development＆Developer Relations）

　イベントの冒頭で登壇したインテル代表取締役社長の鈴木国正氏は，Intelと国内のゲームスタジオとの協力関係が進化したのは，2020年に登場したノートPC向け第11世代Coreプロセッサ（開発コードネーム Tiger Lake）の存在があったという。
　Tiger Lakeは，Intel Arcと同じ「Intel X^e」アーキテクチャをベースとした統合グラフィックス機能（以下，統合GPU）「Iris X^e Graphics」を搭載しており，これまでの統合GPUと比べて大幅に高いグラフィックス性能を実現した（関連記事）。これが国内のゲームスタジオにも「ノートPCでこんだけ動くの？」と好意的に評価されたことが，ひとつの切っ掛けであったと，鈴木氏は振り返る。

会場に展示されていた富士通製のノートPC「LIFEBOOK WU2」シリーズ。第11世代Coreプロセッサの統合GPUでPC版「鉄拳7」が動作している

Intelとゲーム分野で協力している企業を代表して，カプコン代表取締役社長の辻本春弘氏がメッセージを寄せ，PCゲームやeスポーツを見据えた展開を，Intelと進めていくと述べた

　国内でのゲーム市場に対する取り組みも拡大しており，ゲームスタジオ7社と協力して，ゲームがIris X^eで快適にプレイできることを検証する「インテル Iris X^eグラフィックス 検証サポートプログラム」の検証済みタイトルは33作品まで増えたそうだ。
　Iris X^eで動作するタイトルであれば，同じアーキテクチャのIntel Arcならばより快適に動作するだろうから，検証済みタイトルが増えることは，ゲーマーにとっても歓迎できるだろう。

インテル Iris X^eグラフィックス 検証サポートプログラムの検証済みタイトルは，33タイトルまで増えた

　鈴木氏に続いて登壇した，Intel本社でGPU部門やゲームスタジオとの協力を担当するRitche Corpus（リッチー・コーパス）氏は，同社が開発者優先でパートナー企業と協力をしており，ゲーム制作用ツールの開発や，マルチプラットフォーム対応の支援などを行っていると述べた。

Corpus氏が挙げた，Intelの開発者向け支援プログラム。開発者がゲームのPC対応を進めやすくする環境やツール作りに取り組んでいる

IntelはAAAタイトルに関する協業も進めている

　Corpus氏が，Intelとゲームスタジオの協業における例として挙げたのが，PC版の「DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT」だ。本作は，Intel Arcが備えるAIベースの超解像技術「XeSS」への対応を表明している。
　XeSSは，GPU負荷が低めの低解像度でゲーム映像を描画したうえで，XeSSによるポストエフェクト処理で表示解像度を拡大することで，映像の美しさと高いフレームレートを両立できるという技術だ。Corpus氏は，Intel ArcのデスクトップPC向けエントリークラスGPU「A380」でDEATH STRANDING DIRECTOR'S CUTを実行したデモ映像を示した。それによると，XeSS無効の状態と，XeSS有効状態のフレームレートを比較して，XeSS有効のほうが高いフレームレートで描画できるそうだ。

DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUTにおけるXeSSの効果を示した動画。解像度1920×1080ドット（1080p）で，XeSS有効時は60fpsを超えるフレームレートを発揮できるという。テストに用いたGPUはIntel ArcのA380だ

　また，イベント会場では，Intel ArcのノートPC向けエントリーモデル「A370M」を搭載した試作機で，PC版「ELDEN RING」を実行するデモも行っていた。デモ機では，解像度1920×1080ドット，画質設定「Medium」の設定で，実際に動かしてみても快適に動作しており，これならリッチなグラフィックスのPCゲームでも，設定次第で快適なプレイができそうである。

Intel Arc A370M搭載の試作PC。ELDEN RINGが比較的快適に動作していた

　イベントでは，Intelの第12世代Coreプロセッサが高い性能を有することも，あらためてアピールされた。とくに，ノートPC向けの最上位モデルである「Core i9-12900HK」は，競合となるAMDの「Ryzen 9 5900HX」や，Appleの「M1 Max」といったCPUと比較して，とくに35〜65Wの消費電力で大幅に高い性能を発揮するそうだ。

第12世代Coreプロセッサと前世代の第11世代Coreプロセッサのゲーム性能を比較したスライド。1.2〜1.4倍もの性能差を発揮するゲームもある

ゲームではないが，CPUの電力あたり性能を比較したグラフ。前世代はもちろん，Ryzen 9 5900HXやM1 Maxよりも電力あたり性能に優れるとアピールしている

　Intel Arc搭載のゲーマー向けノートPCも，2022年後半には市場に登場してくるだろう。その実力が楽しみだ。

IntelのIntel Arc製品情報ページ