「信長の野望・革新」は本当に革新的? プレビュー記事を掲載
「信長の野望・革新」プレビュー
Text by 岩尾ゴワス
6月22日の発売を目前に控えた「信長の野望・革新」。本作については,「コーエー突撃 マスター直前情報」(「こちら」と「こちら」)などで何度も紹介してきたので,内容の詳細をご存じの人も多いと思う。 その一連の最終情報をお届けするべく,4Gamer編集部に届いたβ版でレビュー役を拝命したのが筆者である。本作を一通り紹介するレビュー記事を作成するには,ある程度プレイをやり込む必要があるわけだが,とにかく一刻も早く本作のプレイフィールを知りたいという人も多いだろう。そこで今回は,まず第一印象を伝えるプレビュー記事として,「今度の信長は本当に新しいか?」という視点でお伝えしよう。
第一手 チュートリアルプレイ
チュートリアルの主役として抜擢されたのは斎藤龍興。ちなみに講師役は竹中重治(半兵衛)だ。あまりデキのよくない龍興に進行の基礎を教える半兵衛の苦労もうかがえ,コミカルタッチで良い雰囲気だ
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大連作となる"信長の野望シリーズ"だけに,筆者はチュートリアルを飛ばして本腰プレイに臨むこともしばしば。しかし今回は,前作までとはずいぶん雰囲気が異なる部分もあるので,最初にチュートリアルでしっかりとゲームの基礎を学んでみることにした(もちろん,β版と同時に届いたマニュアルも熟読している)。 チュートリアルで学べることは,「リアルタイム進行の仕組み」や「合戦の流れ」「人事・登用の基礎」「施設の作り方」に加えて,新機軸となる「技術の概念」などとなる。最近のコーエーゲームはチュートリアルがしっかりしているが,今回の白眉は定番の織田家ではなく,隣国斎藤家のボンクラ大将(?),斎藤龍興をクローズアップした点だろう。デキの悪い龍興に苦労しながらプレイ作法をレクチャーする竹中半兵衛とのやり取りが,ややコミカルな感じで描かれているので,眺めていて非常に面白い。 もちろんチュートリアルとしてのデキも満足のいくモノで,とくに今回チカラを入れている「技術」については,獲得の方法だけでなく他家との同盟の重要さなども伝えてくれている。
左:チュートリアルではゲームの進行に関するポイントを7項目に分けている。これを見ればゲームの基礎が分かる 中央:プレイに悩む龍興に対して半兵衛が問題解決の道を教え,一連のコマンド修得となるのが物語の流れだ 右:本作のキモとなる「技術」の要素。自家が持っていない技術は,外交で同盟相手から得ることも可能
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第二手 地方モードプレイ〜北条家・初級〜
地方モード・全国モードとも選べるシナリオは同じだ。ちなみに「1557年3月 群雄集結」は北条早雲や太田道灌,真田幸村,伊達政宗などが同じ舞台で戦うという仮想シナリオである。本作の魅力的な要素の一つだ
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チュートリアルでゲームの基本的な流れを学んだら,実際にその知識が生かせるかどうかの確認だ。本作では手軽に遊べるモードとして「地方モード」が用意されているので,こちらで軽く腕試しとシャレ込んでみる。ゲームに慣れるのが目的なので,「1555年5月 尾張統一」シナリオの「関東」で,「北条家・初級」プレイというヌルめの設定にしてみた。
初級の場合,多少のスキを見せても敵が攻め込んでこないので,チュートリアルで学んだ戦法をいろいろと試せる点がありがたい。ただし,地方モードとはいえ実際のプレイでは敵も動くので,勝つための定石を身に付ける必要はある。 例えば合戦でキモとなる攻城戦の場合,安直に敵の城に部隊を差し向けると簡単に撃退されるので,包囲攻撃をどれだけうまく行えるかがカギとなる。「敵の迎撃を視野に入れて全体の部隊を敵城に向かわせる」……リアルタイムですべてが動く本作では,効率的な部隊の運用が勝負を決定づける。
上段左:地方モードをプレイするときは,まずシナリオと地方を選択。画面では関東がクローズアップされていることが分かる 上段中央:北条家には内政のエキスパートが充実している。また築城,水軍の面でも成長が期待できそうだ 上段右:ゲーム開始前にはプレイ大名を変更することも可能。ここで新武将を大名にするのも面白いかもしれない 下段左,中央:"戦略モード"と"進行モード"は,「戦略/進行」ボタンを押すことで切り替えられる。完全なリアルタイムシステムではないので,戦略をじっくり練ることができ,従来作のプレイヤーも安心だろう 下段右:地方モードでは背後に敵のない北条家は,戦力の集中運用がしやすい。複数部隊の動かし方を学ぶにはココがお勧め
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第三手 全国モードプレイ〜織田家・上級〜
全国モードの上級が,本当の意味でのリアルプレイだ。織田家はゲーム開始時に9人しか武将がいないが,探索で良将を得られるのが強み。ただし隣国に強大な今川家があるので,実際には気の抜けないプレイを強いられる
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第一手,第二手とこなして,いよいよここから本腰プレイだ。「1555年5月 尾張統一」シナリオの「織田家・上級」プレイで,本作の手応えを探ってみた。
上級では,初級とは明らかに敵の動きが違う。まず,スキを見せると間違いなく敵が動く。背後に敵がいない状況を除けば,兵力の一点集中運用で城の守りを手薄にすることは,即,滅亡を意味する。それほど上級は戦局の動きがシビアだ。 また,こちらがスキを見せていない場合でも,戦力に差があるときは敵が躊躇なく攻め込んでくる。こうした戦闘面での敵のアグレッシブさに加えて,技術獲得の点でも上級は動きが激しい。織田家は鉄砲技術の獲得を得意とする大名だが,領土の防衛や金銭/兵糧の確保にかまけていると,そこらの弱小大名に技術の獲得競争で後れをとることもあるほどだ。
織田家といえば,シリーズを通じてプレイしやすい大名の一つに挙げられている。それは優秀な人材が揃っていることに加え,(1560年以前のシナリオでも)「桶狭間イベント」で今川義元に勝つことで,強大な勢力からの干渉を受けにくくなるというメリットを持っていたためだ。 しかし本作では,桶狭間イベントが起きても,必ずしも今川義元が死ぬとは限らないので,今川軍を実力で撃退しないと滅ぼされてしまうこともある。一連のシリーズをプレイしてきた人の場合,「織田信長が今川義元に負ける」という事実を目の当たりにするだけでも,十分ショッキングだろう。
上段左:環境設定画面。全国モードでは地方モードと違って,歴史イベントの有無が選べる点も特徴である 上段中央:濃尾平野に立つ本拠地の清洲城。「マムシの道三」こと斎藤道三率いる斎藤家とは最初から同盟状態だ 上段右:ワサワサと見つかる良将達。羽柴秀吉,羽柴秀長,丹羽長秀など"政治"に優れた武将が多く,内政がしやすい 下段左:あまり内政に集中していると,技術獲得で他家に後れをとる。他家の情報が入るたびにプレッシャーは強くなる 下段中央,右:スキを見せなくても攻めてくる今川義元。そして「桶狭間イベント」の発生! ここでオーソドックスに戦っては,勝っても義元の息の根を止めるまでにはいたらない。そして生き残った義元は調子に乗って攻めてくる……
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オマケの一手 全国モードプレイ〜島津家・上級〜
織田家はイベントが多いので,他家の動きを観察する意味で,まったりプレイのできる島津家を選択。背後に敵がいないうえに周囲の大名家が弱いので,情勢観測にはピッタリの大名だ
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今回の目的であるゲームの目新しさ確認する意味では,第三手の織田家プレイまでで十分に実感できた。しかし,本作では上級プレイの場合に敵が積極的に領土を拡張し,最終的にプレイヤー大名と互角の実力を有するまでに成長することもファン注目の要素となっている。簡単にではあるが,この点についてもプレビュー段階で触れておこう。
織田家では何かとしがらみが多く,オーソドックスな流れを見るには不向きなので,今度は「1555年5月 尾張統一」シナリオの「島津家・上級」でプレイして,軽く全体の流れを追ってみた。 結果はというと,島津家が5年かけて南九州を制圧した段階で,それぞれの地方でも覇者と呼べる大名が成長しているという状況になった。参考までにこのときの例を挙げておくと,東北の南部家,北陸の長尾家,北九州の大友家,南九州の島津家が抜きん出ていたといった具合だ。
あくまでも筆者の私観だが,技術と軍事にどれだけチカラを注ぐかは,大名の性格によるのか,その差が領土の拡張度合いとなって現れているように思われた。初めに領土を広げまくった大名が,技術の獲得に全力を傾けるようになるかもしれないことを考えると,上級では敵が強大なライバルとなる可能性は十分にあるだろう。
さて,第一印象としてはここまで。この続きは,レビュー記事をお待ちいただきたい。
左:戦力の集中運用で大隈→日向を攻略。いくら観戦気分とはいえ,一応,これくらいの意地は見せてみる 中央,右:そして5年経過時の状況。島津家もがんばっているが,東北の南部家や北陸の長尾家もかなりがんばっている。ちなみに島津家にとって当面の壁となる大友家には技術で一歩リードされており,今後,手応えのある戦いが予想される
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※画面は開発中のものです
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信長の野望・革新 |
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■価格:1万1340円(税込),プレミアムBOXは1万3440円(税込) |
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(C)2005 KOEI Co., Ltd. |
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