SteelSeriesのKim Rom氏
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ほんの20分前までは,なんてことのない普通のブースだった。 ……GC 2007における,SteelSeriesブースの話である。ところがそれから5分と経たないうちに,メディア関係者と思われるカメラを持った人物が,一人二人と集まり出した。そして現地時間の5:30PM,突如としてその発表会が始まった。MicrosoftやLogitechのマウスをSteelSeriesカラーに“染め上げる”コラボレーションは行っていたものの,自社製品は持っていなかったSteelSeriesが,満を持してゲーマー向けマウスの市場に参入するという,4Gamerとしてもとても聞き逃せない発表が行われたのである。
発表会は,同社のマーケティングディレクターを務めるKim Rom氏が,発表資料が映し出されたモニターの前で話をするという形で行われた。最初にSteelSeriesの歴史を語り始めたのだが,本稿では割愛する。続けてRom氏が「15か月前。新たに,マウスを作ることを決めたんです」と述べたとき,後ろのモニターに映し出されたのが,その名も「Ikari」というマウスだ。 Ikariのユニークな点は,FPSゲーマー向けと,RTS/MMOゲーマー向けの2モデルが用意されていること。具体的には,光学センサー搭載の「SteelSeries Ikari Optical」がFPSゲーマー向け,レーザーセンサー搭載の「SteelSeries Ikari Laser」がRTS/MMOゲーマー向けとなっている。
左がSteelSeries Ikari Optical,右がSteelSeries Ikari Laser。本体カラーは微妙に異なる
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SteelSeriesが取得した“e-Sports系”ゲーマーのデータ
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計画がスタートしてからの15か月間に,実際のゲーマー達――Team 3D, compLexity, mousesports, SK Gaming, Team NoAなどの有名プロゲーマーをはじめとする5000人以上――の協力を得て研究を重ねられたとのこと。Rom氏はその中から「ゲーマーが必要としているボタン数は4個で,ゲーム中に使われるのはそのうち2〜3個」というデータが取得できたことや,99%のプレイヤーがワイヤードタイプを愛用することなどを紹介。右手用の5ボタンワイヤードタイプという,最近のゲーマー向けマウスとしてはシンプルなボタンレイアウトとなったIkariだが,十分な根拠に基づくことをアピールしていた。 また,一見左手用のようにも感じられるシルエットは,握ったりつまんだりといった,さまざまな持ち方に対応すべくデザインされた結果とのことだ。
真上から見たイメージ。説明がなければ左手用にも思える形状だ。イメージを見る限り,デザインは若干ながら異なり,SteelSeries Ikari Opticalは右側にわずかながら膨らんでいる
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発表された両製品の特徴をまとめると以下のとおり。
●SteelSeries Ikari Opticalの主な特徴- FPSゲーマー向け
- Plug and Play対応でドライバ不要
- 滑りを重視して底面の摩擦を軽減
- 表面は汗でも滑りにくいコーティングを実施
- 2種類の解像度をボタンスイッチで素早く切り替え可能
- ポーリングレートは500Hz
●SteelSeries Ikari Laserの主な特徴- RTS/MMOゲーマー向け
- Plug and Play対応でドライバ不要
- ボタンにプログラマブルマクロを登録可能
- 滑りを重視して底面の摩擦を軽減
- 表面は汗でも滑りにくいコーティングを実施
- 本体内蔵の液晶パネルで確認しながら解像度設定を切り替え可能
- ポーリングレートは500Hz
本体側面から。ここも左がSteelSeries Ikari Optical,右が同Laserだ。左端に設けられている二つのスイッチが解像度変更用のボタンスイッチ
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SteelSeries Ikari Laserの底面。このように解像度設定が表示される。詳細は語られなかったが,最大3000dpi? なお,SteelSeries Ikari Opticalの底面も,液晶パネルが省略される以外は同じと思われる
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Rom氏によれば,FPSのトーナメントに出場してくる選手の大半は光学センサー搭載マウスを使用(使用率はなんと97%!)し,一方,RTSの大会に出てくる選手は大半がレーザーセンサー搭載マウスを使っているとのこと。ほぼ同じ本体デザインを採用しながら,ゲームジャンルに合わせて光学センサーとレーザーセンサーを使い分けるというのは,なかなかうまい手法かもしれない。
「ドライバ不要=USBクラスドライバを利用」ということもあり,機能を絞り込んだSteelSeries Ikari Opticalの純然たる使い勝手が実に気になるところだが,一方,SteelSeries Ikari LaserでRTS/MMOゲーマー向けに用意されるプログラマブルマクロを登録機能も目を引く。ドライバ不要でこの機能が使えるため,LANパーティや(使用許可が得られれば)ゲーム大会などでも,いつものマウス環境でプレイ可能になるだろう。
発売時期は欧米で2007年第4四半期が予定されており,価格は未定。 ちなみに,発表を行ったRom氏は,なんでも昔,日本に住んでいたことがあるそうだ。当然日本でのPCゲームの状況も知っており,FPSだけでなく,RTSやMMOゲームに向いたマウスの必要性も感じていたという。このマウスが日本でどのように評価されるのか,今から楽しみである。(Iwahama)
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