テストレポート
単体GPU「HD 3450」を凌駕する衝撃。「AMD 790GX」チップセットの実力検証
ATIフォームファクタでCrossFireX対応
SidePort Memoryも標準搭載のGA-MA790GP-DS4H
本製品はATXフォームファクタを採用しており,PCI Express x16スロットを2本用意。AMD 790GXの仕様どおり,PCI Express 2.0 x16 ×1(※この場合2本めは無効),もしくはPCI Express 2.0 x8 ×2として利用可能で,2/3/4-way ATI CrossFireX(以下,CrossFireX)をサポートする。AMD 780Gマザーボードでも,Jetwayの「HA06」はCrossFireXをサポートしていたが,AMD 790GXは標準対応だ。他社製品でも,ATXフォームファクタを採用するAMD 790GXボードは,GA-MA790GP-DS4Hと同じような仕様になるものと思われる。
なお,UMAのグラフィックスメモリ容量はBIOSから64/128/256/512MBの設定を行えるようになっており,SidePortと合わせると最大640MBを割り当て可能だ。
SidePortの効果とHybrid Graphicsの
パフォーマンスも検証
さらに,「ATI Radeon HD 3450」を搭載するASUSTeK Computer製グラフィックスカード「EAH3450/HTP/256M/A」も用意し,カード単体のスコアをAMD 790GXと比較するとともに,Hybrid Graphics(≒Hybrid CrossFireX)構成も検証する。今回,使用するOSが32bit版のWindows Vista Ultimateなのは,Hybrid Graphics検証を行うためである。なお,Hybrid Graphicsのテストに当たっては,スケジュールの都合で,SidePort無効のデータは取らず,有効時のデータのみを取得している。
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EAH3450/HTP/256M ファンレスのHD 3450カード メーカー:ASUSTeK Computer問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) [email protected] 実勢価格:6000円前後(2008年8月6日現在) |
テスト方法は基本的に4Gamerのベンチマークレギュレーション5.2準拠。しかし,テスト対象がエントリーレベルのグラフィックス機能ということで,「高負荷設定」のテストは省略するほか,「標準設定」も通常の解像度ではなく,800×600/1024×768/1280×1024ドットの3パターンに絞る。また,「Crysis」は描画設定をすべて「中」に落としたほか,Windows Vista環境で安定したスコアを得にくい「Unreal Tournament 3」と「Half-Life 2: Episode Two」のテストも割愛している。
以下,文中,グラフ中とも,「AMD」「ATI Radeon」を省略したチップセット名およびGPU名で表記を行う点,またSidePort無効時と有効時はそれぞれ「LFB無効」「LFB有効」と表記することをお断りしておく。
現役世代のエントリーGPUを超えた!
AMD 790GXの3D描画性能はHD 3450以上
テスト結果を見ていこう。グラフ1は「3DMark06 Build 1.1.0」(以下,3DMark06)の結果である。LFB無効の790GXが,すべての解像度でわずかだが確実にHD 3450のスコアを上回っている点と,LFB有効でそのスコアがさらに1割ほど増している点に注目したい。
また,グラフィックス機能統合型チップセットのスコアが,3DMark06のデフォルト設定となる1280×1024ドットでLFB有効時に2000を超えてきたのは,立派の一言。Hybrid Graphics有効時の800×600ドットで,スコアがほぼ5割増しとなっているのも,かなり優秀だ。
続いてCrysisのスコアをグラフ2にまとめたが,3DMark06とほぼ同じ傾向を見せており,790GXのパフォーマンスは明らかにHD 3450以上。790GXと780Gを比べると,SidePortの効果は790GXのほうが強く出ている。
さらにグラフ3はTPS「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」(以下,ロスト プラネット)のベンチマークモード「PERFORMANCE TEST」から,実ゲームに近い傾向を見せる「Snow」の結果である。本タイトルではCrysisのように描画設定を下げたりせず,レギュレーション5.2そのままの設定でテストを行ったため,全体的にスコアは低めだが,グラフィックス描画負荷が極めて高い状態でも,790GXはHD 3450のスコアを確実に上回っている。
RTS「Company of Heroes」(以下,CoH)の結果も,ここまでと同じ傾向だ(グラフ4)。790GXと780Gのスコア差は800×600ドットのLFB有効で33.7%と,AMDのアピールどおりになっている点も,なかなか興味深い。今回取り上げたタイトルのなかでは,CoHは描画負荷が低いほうだが,“軽い”タイトルでは,790GXの優位性がより発揮されると見るべきだろう。
以上,ゲームタイトルを中心としたいつものテストを行ってきたが,前述したとおり,また別記事でも指摘されているとおり,790GXではサウスブリッジがSB750に変わったことも大きな特徴だ。
そこで今回は特別に,ストレージ周りの性能を見るべく,hiyohiyo氏製のベンチマークソフト「CrystalDiskMark」(Version 2.1.5b)を用いて,ディスクアクセス性能を測定してみた。その結果をまとめたものが表2となる。
表2を見ると,SB750はSB700と比べて,リード(Read),ライト(Write)ともシーケンシャルアクセス性能が向上した一方,ランダムアクセス性能は逆に低下している。BIOSなのかドライバソフトなのか,その両方なのかまでは断言できないが,SB750の最適化はまだ十分でない印象だ。
なお表3は,PC総合ベンチマークソフト「PCMark05 Build 1.2.0」の結果を一部抽出し,CrystalDiskMarkが出した結果の“裏”をとったものである。CrystalDiskMarkで790GXはランダムアクセス性能が遅く出ていたが,まさにランダムアクセス性能の求められる「Virus Scan」で,790GXのスコアは780Gに置いて行かれており,結果,「HDD Score」も低めに出ている。
一方,「Memory Score」は790GXのほうが780Gよりもずいぶんと高い。この結果だけでは断言できないが,ひょっとすると,UMA周りのボトルネックが,790GXで改善しているのかもしれない。
動作クロックが上がるも消費電力は780Gと同等
Hybrid Graphics時の消費電力は要注目
マザーボードのフォームファクタが異なるうえ,搭載する部品点数も異なるので,厳密に横並びで比較はできないが,ATXフォームファクタを採用する790GXマザーボードのほうがやや低めのスコアを出している以上,AMD 790GXで省電力性がより高められているとはいえるだろう。
また,HD 3450単体と790GX+HD 3450の値に注目してほしいが,ここではHybrid Graphicsを利用したほうが,HD 3450カード単体利用時よりも消費電力が低い。これはHybrid Graphicsにより負荷が分散され,HD 3450の消費電力が低減したためだと思われるが,「消費電力効率を重視してHybrid Graphics」という選択肢が浮上してきたのは興味深いところだ。
3D性能は確実に向上し,さらに魅力的な選択肢に
Intel製CPUと組み合わせられないのが残念
ATI Radeon HD 3450は,エントリーモデルとはいえ,現行世代の単体GPUだ。それを超えたパフォーマンスを叩き出すAMD 790GXが,コストを最も重視するタイプの自作派PCゲーマーにとって,極めて魅力的なグラフィックス性能を持ったチップセットであることに,疑いの余地はない。グラフィックス機能のブランド名はATI Radeon HD 3300だが,“ATI Radeon HD 3500”あたりでもよかったのではなかろうか,と思えるほどである。
Hybrid Graphicsに関しては,「わざわざグラフィックスカードを買い足すなら,ミドルクラス以上のGPUを搭載したものにすべき」という点でAMD 780Gと変わらないが,消費電力効率を第一に考えながら性能向上を目指す場合に限り,選択肢となり得よう。
それにしても惜しむらくは,790GXがIntel製CPUと組み合わせられないことだ。「Core 2 Duo E7200/2.53GHz」あたりと組み合わせられればと思うに,「ATI Radeon Xpress」の新製品が登場し得ないのは残念でならない。
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AMD 7
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